銀色ミルクティtext

□空から降る一億の糖
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ナンニモカンニモ。


なーんにも。
いーっこも。


上手くいかなくて。
良い事無くって。


だから全部。
投げたくなった。


ポーイって。



…だけど。


そんな簡単に、
捨てられる訳もなくて。



投げた下駄の代わりに、


降って来たのは






色の雨。









…じゃなくて、





……


…………………苺牛乳???




「…えっ

…えーっ!?」


「ちょっ

えェェェ!?



「えっっ!?」



驚いて声をあげたら、

同じ様な、いや、
更に凄い驚きの声があがって。

驚いて、もう一度、
いや今度は叫んでしまった。



「ちょ まだ一口しか飲んでねーのに!?
ソフトクリームで言う一番上の巻きの部分食べただけなのに!?」


凄い驚きの声、を先程あげた主が更に続けた。


「オイオイ…

…オイィィ?!
っつーか何か今飛んで来たの、下駄じゃね?!まさかの下駄じゃね?!


…誰だァコラァァァァ!!
俺が噂の万事屋銀ちゃんと知っての無礼ですかコノヤロー!!」


つい先程まで、『苺牛乳』を持っていたらしい右手を、堅そうな拳に変えて周りに怒りを散らしている。



「俺の苺牛乳ちゃんがァァァ!!!」



……………うっ、

こ、わい…………!!!



「ごごごごご

ごめんなさいぃッ!!!」


「あ?」


「そそそそのッ、

下駄っ!!
げげろげ下駄ろたた、
投げたの私ですッ!!
私なんですすすすみません!!!」


「………。」


「まままさか
ひっひひ人が居るななんておおも重お思わなくてつつつい…ッッッ」


「…………。」


「べ、べべべ弁償ッッッ!しますッッッ!!ごごめんなさい!!」


「……………。」


「あああのッ、オイおいおイおいくらでしょうかッッッ…!?!?」



……返事、してくれない、
…相当、怒ってる?怒ってのかな?!大魔神!?
どうしよううぉうー!?ここ怖いよーものっ凄く怖いよー!前向けないよー顔上げらんないよー!こわー!



「…ちょ、 すとっぷ」




ぺち、




と言う音と共に
おでこに伝わった心地の良い、暖かさ。



「ま 落ち着こうかお嬢ちゃん」


「…は、はぃ…」



変わらず私のおでこには、
『彼』の右手が軽く触れている。


「すっすすみま、せん…ッ」


「……。」


何も言わず、『彼』は身体を地に屈め。



…ず!!
頭突きが下から来たらどうしよう……!
来そう!激しく来そう!!





少し、少しずつ。
鼓動が波打つのが速くなる。

…いや、かなり(半端じゃ無く)




「あー」



発せられた声にビクリとする。



「わり。

鼻緒に染みちゃったみてェ」


「………へっ?」



左手でくしゃり、と癖毛風な髪を一掻きした後。


「コレ、…色落ちねェかも」


同意を求める様にこちらに視線を向けた。


「ほら、苺牛乳って着色料盛り沢山だしね」



…それらは。


その、眼は。


只々、



まっすぐで。




「あっ でもほらまあ、イイ匂いするしね!カッコいくね?!下駄最新モデル苺風味これで足の匂いからストレスフリー!みたいな」



落ちなくても




いいと思った。




褪せない。

落ちないで。

褪せないで。



「…? …やっぱ無し?そんなの無し?っておーい。お嬢さーん?どうしましたかァー?」



唐突に降ってきた。



「…………っつうか。

お嬢さん お嬢さん。


…良かったら


名前。



教えてくんない?」




降り出したのは






桃色の雨。







.



(´Д`)
 

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