あ、やばい。
そう思った時には既に遅く、訪れたのは大きな快感と開放感。
休む暇もなく上げ続けていた雲雀の声が微かな吐息へと変化して行くのを見つめながら、ディーノがゆっくりとペニスを引き抜く。ぬるりとした感覚にきゅっと目を閉じた雲雀の中から全てを抜いた後、はあ、と大きな溜息を吐いた。


「ごめん恭弥…」
「…うん…?」

謝られる意味がよく分からない。そんなに無理はしてないはずだけどと潤んだ瞳でディーノを見上げる雲雀がゆっくりと瞬きを繰り返す。甘えるようなその視線に胸を握り潰される程のときめきを感じながらディーノは雲雀の足をゆるりと撫で、そして再び大きく開かせる。


「あぅ…!?」

指が二本入れられ、ぐちゅぐちゅと中を掻き交ぜるように動き回る。終わったばかりの敏感な内壁は刺激をダイレクトに受け取り、そしてそれは快感と言うよりは苦痛に似ている。


「やめてよ…!なん、何でっ…」
「悪い、中に出しちまったから…」

ごぽ、と引き抜かれた指と共にディーノが放った精液が溢れ出した。
そう言えば、と終わったばかりのぼんやりとした頭では気が付かなかったが、確かにじわりと腹に滲むように感じる妙な温かさと違和感がある。いつもはゴムを付けるのを怠らず、付けない時があったとしても必ず外へ出すディーノにしては珍しいミスだ。


「待ってろ、今ちゃんと掻き出すから。」
「掻き…!」

冗談じゃない。指を入れられるという行為は初めてでも何でもないが、問題なのはそれが今というタイミングだという事。
例えば、頭も体もある程度とろけて思考回路もあまり回っていない時なら気にする余裕もないので深く考えたり拒絶する必要もない。(むしろこれは相手を受け入れるためには必要な作業だけど。)
しかし今は頭もそれなりに冴えて来た頃。そんな行為を黙って受け入れるなんて、と雲雀の顔が一気に強張った。

「やだ!」
「うわ!?暴れんなって恭弥…痛ぇ!」

ドカ!とディーノの左脇腹に雲雀の右足が見事に決まった。
うう、と痛みに呻くディーノが動かない隙にベッドから飛び降り、急いで脱ぎ散らかしたシャツやズボンなどの衣類を手に取った。隣の部屋に逃げ込んでそのまま帰ろう。そう思って走り出した瞬間、どろっと溢れるように太股を伝う生温い感触に膝が震え、その場にへたりと座り込む事になってしまった。


(立てない…)

重力に逆らう事なく流れ続けるそれは床に敷いてある絨毯を濡らして行く。
かあっと頬を赤く染め、やだぁ、と持っているシャツで顔を隠しながら震える事しか出来ない雲雀の後ろ姿を見ながら、ようやく動けるようになったディーノがそっと近付く。


「ごめんな恭弥。」

背後から優しく抱き締め、よしよしと頭を撫でる。
もじ、と太股を擦り合わせるその仕草に心から申し訳ない気持ちになるが、心配なのはやはり体の事。
これを腹に残したまま放置しておくのは非常によろしくない。


「後で好きなだけ殴って良いから。」
「え…、あっ!?」

再びディーノの指が雲雀の中へと入れられ、くちゅっと卑劣な音を立てながら上下に動かされるのに雲雀は唇を噛み締める。
流れ出るそれを目に確認した瞬間、恥ずかしさが限界に達した雲雀がじたばたと抵抗を始めた。


「離して!」
「これはちゃんと出しておかないと後でお前が辛くなるから…!」
「自分で出来る!触らないで変態!」

確かに中で出してしまった自分は悪いけれどそこまで言うか?
可愛い可愛い好きな人。そんな雲雀を考えての行動なのになとディーノが手の動きを止めた。
自分で出来ると雲雀は今そう言った。それが本当かどうかは分からないが、だったら自分でやってもらうしか無いだろう。


「本当に自分で出来るんだな?」
「え…」
「ここに自分の指を入れて、動かして、中のやつを出して。」

きょとんとしたままだった雲雀の手を取ったディーノが、あろう事か雲雀本人の指をいまだ精液の零れ続けるそこへ導く。くぷ、と入り込むさっきとは全然違う感覚に、雲雀が信じられないと言った様子でぼろぼろと涙を溢れさせた。
当然だ。だって今、自分の中にあるのはディーノの指でも、他の誰の指でもない。

「ほら、こうやって、こうやって…」
「や、だ…やめて…!やめてよ…!」

ディーノによって動かされている自分の指が内壁を擦るように動き回る。
自慰もほとんどした事のない雲雀からすればいくら自分の意思ではないとしても、自分の体の一部が自分に対して刺激を与えているという事は自らを慰める行為と同様、いや、それ以上に耐え難い羞恥だった。


「…出来ないか?」

ひく、と喉を引き攣らせた雲雀が首を縦に振った。
涙で濡れた頬に軽いキスを落としたディーノが、じゃあ風呂に行こうなと言うのにも大人しく頷く。
後処理も終えて、ゆっくりとぬるま湯に浸かりながら盗み見たディーノの表情はいつもと変わらずデレデレとしていたが、先程のあの行動は恐らくドSの片鱗だと雲雀は眉を寄せる。
前にも一度、綱吉に中に出された時に同じような事をされた覚えがあった。(その時はあまりの恥ずかしさに途中で気を失ってしまったが。)


「…あなた、怖い。」
「えっ!?」

危険な状態かも知れない。本格的にSに目覚めてしまう前に何とか対策を考えなければ。
後で好きなだけ殴って良いからと言っていたし、じゃあ痛め付けられる事に快感を覚えるようになるまで殴りまくろう。そう決め、とりあえず手近にあったシャンプーを思いきり投げ付けてみた。


(さっきのあなたも悪くはなかったけど。)

でもこれ以上の負担はお断りだよ。
































++++

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ