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□サナギ
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サナギ
君とは闘ったことはあってもちゃんと話したことなんかないのに、君は俺の内側を見透かしたような風に話す。無神経に俺の心を触っていくくせに君の言葉は嘘ばかり。でもそんな君が、俺のことを馬鹿だと思っている君が、嫌いじゃない。
黒曜センターで闘った時には仲間として一緒に闘うなんて思ってなかった。君は姿形を変えて、俺のために闘ってくれた。「君」という存在ではなかったけど、俺はいつも君がいる気配を感じてた。
君達が復讐者に連れて行かれたときから、俺の心のどこかは乾いていって、寒く感じるあの場所で何かが生まれ変わった。
俺はまだ弱い。でもみんなを友達を仲間を守りたいから強くなる。みんなでまた笑って過ごせる日常をユメ見ながら・・・
君を想うと心のどこかが悲鳴をあげる。俺のせいで復讐者に連れて行かれて、あの寒い牢の中にいる君。何度も後悔して、それでもあの時は仕方なかったんだと思い込んで、また後悔して。そうやって君を想うことが辛いから、君の存在を自分から消そうとも思ったけど、それは身勝手な俺の我儘。
いつかみんなで笑い会える日がくるだろうか。君も含めて俺の大切な人たちが闘いなんかしないで、遊んだり花火したり喧嘩したりできるだろうか。
そんな時がくるだろうか。
そんな素晴らしい日々が・・・
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