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□バレンタイン
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 いつものごとく騒がしい執行部。いつもと変わらず相浦はパソコンを、久保田と時任はテレビゲームを、それぞれが思い思いに放課後を過ごしていた。

 唯一つ違うことは、桂木がカバンを一ついつもより余分に持ていたこと。

「だぁあ〜〜!!また負けた!!」

「甘いよ、時任。アソコで気抜いちゃだめだって」

「だからって久保田も情け容赦ないよな?」

「『勝負は勝たなきゃ意味がない』だろ?」

 パソコンから顔をあげた相浦に久保田はタバコを咥えながら答えた。

「もう一回やるぞ、くぼちゃん!!」

「ちょっと!時任と相浦くんは見回り行ってきてよ!」

「了解。ほら、行くぜ、時任」

「分かったから襟を掴むんじゃね〜!」

「はいはい」

「は〜な〜せ〜!」

 パタンッ

 ドアが閉まると、執行部はとても静かになった。

「時任がいないだけでだいぶ静かね」

「そうだね〜。そういえば他の奴らは?」

「全員どこかに出かけてるわ」

「ふ〜ん、そう」

 今、部屋には久保田と桂木の二人しかいなかった。桂木はカバンの中を漁って、小さな箱をだして久保田に渡した。

「はい」

「・・・ナニコレ?」

「今日は二月十四日、バレンタインチョコよ。時任と二人で食べてね」

 久保田は受け取ったものを眺めながら、タバコの火を消した。


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