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□バレンタイン
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「はい、三蔵」
旅の途中の宿屋に泊まり、一人のんびりと部屋で過ごしている悟空がいきなり入ってきて手に持っていた箱を差し出した。
「・・・何だ、ソレは」
メガネをかけ新聞を読んでいた三蔵は顔をあげ、目の前に頬を少し赤く染めながら目の前に差し出された箱を持っている悟空を見た。
「バレンタインチョコ」
照れくさそうに悟空は頬を掻いた。
「・・・お前バレンタインの意味を分かってるのか?」
あの悟空が他人に食べ物をあげようとしている・・・
三蔵は今日が2月14日なのを思い出しながら、悟空がバレンタインを知っていたことに驚いた。
「当たり前だろ!お世話になってる人にチョコをやるんだろ!」
「・・・はぁ〜」
思ったとおり、悟空はバレンタインの意味はズレていた。
「違うのか?」
自分が教えてもらった意味が違っていたのかと悟空は不安に思い、差し出した箱をを抱きかかえながら首を傾げた。
「誰に聞いた」
大抵新しい知識を悟空に与えるのはアイツだけ。
しかも、こちらが訂正しずらい知識をワザと間違って教えるようなことをするやつは。
「八戒」
やっぱりアイツか・・・
三蔵の脳内には八戒の楽しそうな微笑が浮かんだ。
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