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□夢か幻か現実か
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夢か幻か現実か
「こんにちは、ボンゴレ」
「!?」
一人っきりの帰り道に綱吉は背後からかけられた声に反射的に振り返った。
「どうして・・・」
目の前には黒曜中の制服を着た六道骸が立っていた。
「今日は特別な日ですからね」
「特別・・・?」
骸が自分に一歩近づくたびに綱吉は一歩後ろにさがった。
「ええ。まぁ貴方は知らないでしょうけど」
骸はそう言って一気に綱吉との距離を詰め、綱吉の両手を近くの壁に押さえつけた。
「何するんだよ!」
「クフフ・・・貴方から頂きたいものがありましてね」
そう言うと骸は綱吉の指に己の指を絡めて、自分を真っ直ぐ見つめる目を見ながら顔を近づけた。
「なに・・・!」
目を合わせたまま、二人の唇は重なった。
綱吉は自分が骸とキスしていることに気がつくと、目を合わせたままが恥ずかしくなって瞼を下ろした。
綱吉が唇に感じる体温にショートしそうになると、骸はやっと綱吉の唇を開放した。
「なんで?」
キスなんて初めてで呼吸の仕方が分からなくて、息を乱して頬を紅くしている綱吉は何事もなかったような骸を見つめた。
「言ったでしょう、頂きたいものがあると。それでは」
綱吉はそこで目が覚めた。
「え!?」
綱吉が居るのは自分の部屋。
いままで見ていたもの、感じていたものは何なのか、綱吉は無意識に唇を指で触っていた。
「夢・・・?」
そう思おうとしても自分の中の何かが違うと否定する。
あれは本物だ。自分の中でそれは確信していた。だったら今のは・・・?
「幻術・・・」
綱吉はそう呟くと今まで寝ていたベッドから降りて机の上のものを手に持った。
「・・・プレゼントくらい贈らせろよ・・・」
会うことはないと思っていたけど用意してしまった骸の誕生日プレゼント。
いつか、骸をあの檻から救い出せたら、骸が生まれてからの数年分をまとめて贈ろう。
―骸誕生日おめでとう。そして生まれてきてくれてありがとう―
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