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□煙草×雨
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煙草×雨
ジャンケンポン!
「くっそーまた負けた!!久保ちゃん強すぎ!」
時任は出したパーをそのままに、床に膝を突いた。
「時任なんなら俺がソファー行こうか?」
「いい!俺がソファーで寝る。明日は絶対に勝ってやるからな!」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみ」
寝室に続くドアを開けながら、時任と今日最後になるだろう挨拶をかわした。
一度ソファーを見てみると、時任はもう毛布をかぶって寝てしまっていた。
夜中の十二時、外は激しい雨。
久保田は自分の隣の暖かさと、窓に激しくぶつかっている雨の音で目を覚ました。
「やっぱり来てる・・・」
そうつぶやき隣を見るとソファーで寝ていたはずの時任が気持ちよさそうに眠っていた。
「このベッドに二人で寝るのは狭いから一人はソファーで寝ようって言いだした、時任なのに」
文句を言っても隣の暖かさは目を覚まさない。
雨の音と夜の気配に、なんとなく眠気がどこかに飛んでしまった。
こういう日はベランダで煙草をすうのだが、今日はあいにくの雨。
仕方がないから枕元にある煙草とライターに手を伸ばして、上体を起こして煙草を吸い出した。
「ん〜んぅ?」
時任が目を覚ましてしまった。原因は分かりきっているが。
「煙草くさい・・・」
時任はまだ眠いのか、あくびをかみ殺している。
「ごめんね」
「別にいいけど、久保ちゃんの煙草のにおい結構嫌いじゃないし。それよりなんで寝てないんだよ」
責めるような視線を向けてくる。時任が俺を起こした原因の半分なのにね。
「雨の音で目が覚めちゃって、なんか寝付けなくて」
「おとなしく寝ろよ、久保ちゃん」
「時任が俺から雨の音消してよ」
だんだん時任の顔に自分の顔を近づけていく。
「え?どうやって・・・・」
時任が言い終わる前に、遠慮なしに唇を重ねた。
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