BASARA Novel

□甘いお菓子【佐助×幸村他】
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一週間ほど前、幸村が町を歩いているととある店先で屋敷に勤める娘たちがなにか楽しそうに騒いでいたので声をかけた。
すると、娘達は頬を赤く染めながら嬉しそうに話してくれたのだという。
2月14日は異国でばれんたいんという祭りがあり、好きな思い人にちょこれいとという甘いお菓子と共に思いを告げれる日なのだという。
「それってお菓子を渡して告白するってことっすよね?」
「こっ、こ、こ、告白だとーっ!は、破廉恥な」
「破廉恥なって、どう考えたって告白でしょうが」
「そ、そうだが・・・お菓子に思いを込めて送るなんていうのは奥ゆかしいと思わぬか?」
「そういうもんですかね」
俺はどっちも同じように思えるけどと呟いた。
「なんかいったか佐助?」
「いえ、なんにも」
「そうか」
「ところでダンナ、ダンナが団子を送った理由がわからないですが?」
「ああ、そのあとにだな」
娘たちは他にもいろいろ話してくれたのだという。
思い人に渡すだけの日ではなくお世話になっている人や友達にも感謝を込めちょこれいとを渡す日でもあるというのだ。
それを聞いて佐助は納得した。
ようするに、お世話になった人や宿敵と書いて「とも」呼ぶ相手に幸村は渡したのだ。
幸村が考えそうなことだと佐助は苦笑した。
「佐助、何を笑っておる」
「いや、ダンナらしいなってね」
そっと幸村に近づいて耳元で囁いた。
「ありがとうございます」
頬が赤く染まる。
慌てた風で佐助から少し離れた。
「いや、佐助にはいつも世話になってるからな」
顔赤くして話している幸村がとても可愛くみえた。
「ところで、ダンナ。なんで団子の中にちょこれいとなんですか?」
「お菓子といえば、団子であろう。それにちょこれいとではなくてならんからな」
「それでこれになったと」
箱の中に残っている団子を指差す。
「うまくできたと思うぞ」
胸をはっていう。
確かにまずくはない。
だが、甘すぎる。
普通の味覚の人に耐えられるだろか?
送られ人々の顔が浮かぶ。
大丈夫か?と思いつつも毒でもなんでもないし大丈夫だと無理やり納得させた。
今更、回収もできないしね・・・
「で、まだのこってますが、これどうするんですか?」
「ああ、お館さまにも食して頂こうと思ってな」
「本気ですか?」
「なにか問題でもあるのか?佐助と違って、お館さまも団子はお好きだといっていたから大丈夫だ」
「別に俺も団子は嫌いじゃないんですけどね」
と呟いているといつの間にか幸村は城に向かって歩き始めていた。
「佐助ーっ、何をしておる。いくぞ」
「はいはい、ダンナ今いきますって」
佐助は幸村のあとを追いかけた。


ま、味はどうあれ、ダンナのその気持ちが俺にとってはとても嬉しいことですがね。
一生ついていきますよ、ダンナ。



終わり。
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