story

□STORY1 デルタ
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「ん?」

見ると、翠星石と蒼星石が、トランクに乗って遊びに来ていた。

「珍しく遅かったんだな?」
「しゃーねーからオババのお茶を飲んできやがったです。」

窓を開けながら珍しそうに言うジュンに、偉そうに威張りながら言う翠星石。その様子を苦笑いしながら見る蒼星石。

「相変わらずなんだな」
「チビ人間こそ、相変わらず、宿題とか言うやつをやってるですか?」
「まぁな」

短く告げて再び宿題に取り掛かるジュン。
翠星石は、不思議そうにひょっこり顔を覗かせた。

「これがこうだから……よし!!終わった!!」

一度伸びをしてから真紅たちのほうに椅子を回すジュン。すると、雛苺と金糸雀が絵をもってきた。

「雛ね、ジュンがうにゅ〜を持ってきたときのを描いたの〜」
「カナは紅茶を入れてるときのを描いたのかしら」
「へぇ〜、意外と上手いじゃねぇか」
「「やったの〜(かしら)!!」」

ジュンに褒められてうれしそうに飛び跳ねる雛苺と金糸雀。
翠星石も、トランクの中から何かを取り出した。

「ん?」
「しゃーねーから、チビ人間に持ってきてやったです。翠星石が選んだですから、ありがたく思うです!」

翠星石の手には、小さな箱がきれいにラッピングされていた。

「なんだ?」

紐を解いて中を見ると、そこには緑色のベルトのシンプルな腕時計が入っていた。

「最近、ちょこちょこ外に出ることが多くなったって真紅から聞いたです。それさえ持ってれば、時間がすぐにわかるです。」
「確かに……」
「ジュン、裏を見てみて」
「そ、蒼星石!!」

蒼星石に促されて裏を見るジュン。そこには、翠星石の顔が彫られていた。

「……」
「ひ、一人で外に出たら、寂しいだろうと思ってオジジに彫ってもらったです」

顔を赤くしながら照れたようにそっぽを向いて翠星石が言った。
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