贈物

□携帯戦争勃発中
1ページ/4ページ


「やばいよ…どうしよ。」

次期ボンゴレボスは悩んでいた。
勉強についてもスポーツに関してでもないましてや恋の悩みなんてとっくの昔に解決してしまった。
沢田を悩ませていたのは………携帯電話。

ピンポーン☆

「チィーッス!」
「こら!テメー十代目のお宅に軽々しく足踏み入れんじゃねー!!」
「あはははー。いいじゃねぇか。まだ玄関までしかはいってねーぜ。」
「山本来ちゃったしー!!しかも獄寺君まで一緒!?」

今日はテスト前恒例、勉強会の日である。

「あらあら、二人ともいらっしゃい。ちょっと待っててねー、ツナー!!」

玄関から沢田を呼ぶ声がしたが沢田はそれどころではない。

「聞こえないのかしらね?まぁいいわ。二人ともあがってちょうだい。」
(え、ちょっと待ってぇぇぇ(泣)!!)

そんな息子の叫びを知ってか知らずか、奈々はにっこり笑って台所に戻って行った

「なんで説明書ってこんな分厚いの!?」

説明書をパラパラめくる音に扉の開閉音が重なる。

「十代目!!おはようございます!!」
「はよーツナ。」
「あっ、おはよう二人とも。」
「あれ?ツナさ…」
「何?」
「携帯持ってたっけ。」
「あぁーうん。最近…ね。うん。」
「十代目、俺も携帯持ってるんですよ!」
「そうだったんだ!番号交換する?」
「いいんですか十代目!!」
「うん。…けど俺さ使い方がよくわかんないんだよねー…未だに電話しか使えないしさ…」
「十代目の携帯と俺の携帯、メーカーが同じなんでよろしければ俺が…」
「あ!ツナ、俺と色違いだぜ!」
「えっ本当?」
「俺が教えてやるよ。」
「ありがとー山本!!」
「じ…十代目ぇぇぇ!!」

嘆く獄寺の後ろから扉の開く音がする。

「ビアンキ!!」
「お客って隼人、貴方だったのね。」
「あ…姉貴ぃぃぃ!!!」
「ご、獄寺君!!」
「あははははは。相変わらずネーチャンには弱いのな。」

泡を吹いてまさしく戦闘不能になった獄寺を二人がかりでベットに寝かせる。

「で、携帯だけどさ」
「?」
「雲雀先輩から貰ったなら先輩に聞けばいいんじゃねーの?」
「そうなんだけどさ…って、え?」
「ん?」
「俺、雲雀さんに貰ったって言った?」
「言ってないのな。」
「…なんで分かってんの!?」
「いや、さっきアドレス入れようかなーて思ってアドレス帳開いたらさ…」

山本は沢田の携帯画面にアドレス帳を出して沢田に見せる。

『NO.1 雲雀 恭弥』

「アドレスはこの一件だけ。かーちゃんもとーちゃんも自宅の電話番号もなし!だからさ、なんとなくそうじゃないかなーてな。」
「そうやってアドレス帳見るんだ…」
「ホントにツナ初心者なんだな。…けど俺らのメアド入れない方がいいのかなー…」
「雲雀さんは自由に使っていいって言ってたから…いいと思う…。」
「んー…けどなー。」
「大丈夫…だと思うよ?」
「ん?」
「あ、獄寺君起きた?」
「十代目!申し訳ございません!!十代目の右腕である俺が気絶なんて…」
「べ、別に気にしてないよ!落ち着いて獄寺君!」
「ツナー」
「何?」
「メールの仕方教えよっか?」
「な…!十代目がそんなことも知らないと思うなよ野球馬鹿!!」
「あー…ゴメン。知らないんだ。」
「…。」
「あははははは。」
「申し訳ございません十代目ぇぇぇ!!」
「あ、ちょ…獄寺君!!」

主への失言を恥じた獄寺は猛ダッシュで部屋の扉を開け、階段を駆け降りた…

ズルッ、ベシャ、ゴロゴロ、ドシャッ

という効果音付きで。

「大丈夫かなー獄寺君。」
「大丈夫だと思うぜー。」

のほほーんと、言い切って山本は携帯の操作を再開させた。

「ここ、メール作成のとこ。」
「あ、うん。」
「アドレス帳で宛先選んでー」
「うん。」
「件名と本文。」
「うん。」
「文章はガッーって思いつくままに…」
「ガッー?」
「なのな。」
「ガッー…。」
「で、他の機能は…」
「うん。」

山本先生の携帯講座は1時間続いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ