長篇

□ぼんやり、さよなら
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ぼんやり、さよなら Side:雲雀






いつの間にか春が去って夏が来た。






あの草食動物と言葉を交わして、二ヶ月になる。名前を、沢田綱吉というそうだ。

じわじわとアスファルトを焼く灼熱の太陽は容赦がない。朝から晩まで照り付けるだけ照り付けて終わりだ。


「…いま、」


何してる、だろうね。
結局あの日以来言葉を交わすことは無かった。そして、何故あんなにも興味を持っていたのかわからないまま、そのまま置き去りにしてしまった。

らしくない、自分が何の見返もなく優しくするだなんて。らしくない。
出会ったあの日、集会、あの最後の日。
何に気を使っていたんだろう、あんな草食動物の中の草食動物のような存在に。

きっともう会うことはないだろう。
会っても忘れてしまっているだろう。
そう、思い込まなければなんだかやっていけない気がした。






そうしていつしか、消えてくれるように。






この夏の太陽のような灼熱が、
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