長篇
□忘れた頃にやってくる
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忘れた頃にやってくる Side:雲雀
ばったり、出会った。
なんて偶然だろう。ちょうど待っていた。
こんな良いタイミングで会えるなんて思ってもいなかった。ちょうど、そう、本当にちょうど、…………イラついてたんだよ。
「ねえ、僕の前で群れるなんて、」
咬み殺されたいんだね、
僕の目の前にいる二匹の草食動物は音に出さなくても分かったのか真っ青になって逃げ出した。追い回すこともなく片方の奴の襟首を掴んで引きずり倒したあと鳩尾をおもいっきり踏んだ。もちろんもう片方も確保済みに決まってる。
「ぅぐ…」
「よく見たら前にも見たようなツラだね……懲りないね、…しかも、」
開いている方の手で踏んでいた相手の懐から見える手帳を拾いあげた。
「並中の生徒の手帳を盗むなんて、」
「ちがっ…」
「僕が言い訳を聞くと、思った?」
両方とも叩きのめして路上に放置すると僕は手帳を開いた。
「沢田、綱吉…」
どこかで聞いた名前だね、というには些か印象に残りすぎている節がある草食動物を思い出してとりあえず近くを歩き回った。
まだ何処かにいるかも、なんて
意味のない戯れを、頭に浮かべてみる。
足は、止まらない。