長篇

□…久しぶり
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…久しぶり Side:雲雀






君に会うために、僕は走ってた、






何気なく通り掛かった公園のベンチで足を抱えて丸くなっている沢田らしきものを見つけた。身体を小さくして、まるで、泣いているような、…


「…沢田……?」


ぴく、と反応を示したことに確信をもった……これは、僕が探していたもの。
不思議な、もの。


「雲雀、さん……」


泣いているかと思ったが、特にそういう訳もなく、真っ直ぐに僕を見た。
口の端はぱっくりと切れてほんのり血が滲んでいる。おそらくさっきの奴に殴られたのだろう……あんな雑魚に殴られるなんて……弱いな、この子は。

隣に腰掛けて何と切り出そうか、と考えているうちにまた顔を俯かせた沢田をぼんやりと眺めた。

こんなにもぼーとするのは初めてだ。この子の傍にいると調子が悪い。


「…………雲雀さん、」

「…何。」


ぼそ、と呟いたまま、何も言わない。
苛立つような、どうでもいいような…冷たい風が温度を奪っていく。

丸くなったままの沢田の茶色くて柔らかそうな髪を無性に撫でたくなって手を伸ばすが、はた、と勝手に手が止まった。

それを無視して僕にしては恐ろしくゆっくりと、そっ、と触れたら崩れるものを触るように沢田の頭を撫でた。






そのまま何も言わず僕はその場を離れた






自分が自分じゃない気がした。
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