長篇

□会いたいな
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会いたいな Side:綱吉






冷たい風、風紀委員長さんの声と同じ。






意外と止まらない唇からの血にとりあえず傷口を洗おうと近くの公園の水道に向かった。


「いっつ……」


冷たい風にさらされた水道の水はびっくりするほど冷たくて思わず情けない声が出たが、血を流したまま帰宅する訳にはいかないのだから仕方ない。


「母さん煩いもんな…」


この前顔に痣をつけて帰ったらあらあら、とか言って病院に連れていかされそうになった。あの人も結構な心配症だ。

心配されすぎると心配させちゃいけない感じがする。テストの点数が悪くても学校早退してもサボっても、なんだかんだ文句を言う割に心配はされないから、俺も今更改めようだなんて思わない。

それでも、怪我をすると途端に態度が変わる。その度に怪我をしないようにしよう、と思うのにまた殴られる。

理不尽な、世界、だなんて生意気なことを考えながらどうしようもなく優しさに触れたくなった。


「会いたい…」


胸を占める気持ち、この気持ちは何…?
今までこんなことなかったのに…






雲雀さんに、会いたい…






会いたい、それがこの気持ちの正体…?
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