贈物
□一万打感謝:お題
2ページ/6ページ
手の甲に恭しく落とされた唇がむず痒くてふる、と睫毛が揺れた。
薄く淡い唇が弧を描くのが悔しい。
「どうか、した」
優しく優しく熔かす様に囁かれた言葉が脈拍をあげる。熱があがった。
「なんでも、ない、ですよ。」
さあ、続けて、と手を唇に近付けると手首に口付けを落とされる。また彼が笑う。
「脈が、早いね。」
もっとしてあげようか、と尋ねられて自ら押し付けた手を彼の唇から奪い取った。
「さっきはねだってたのに、」
残念さを含んだ声が耳朶に届く。
「もう、したくないでしょ?」
「君の甲にならいくらでもしてあげる。」
するり、と手を奪われたかと思うとまた同じ場所に口付けられ血液が一瞬で体内を駆け巡った。血液が熱に浮かされる。
ああ、それでも騙されませんよ、
「嘘つき、」
−−−本当は唇にしたいくせに、
瞳を見れば分かるんだから。
我慢しないで、
その言葉は空気を震わせる前にあっさりと薄い唇に奪われてしまったけれど。
…唇へのキスはとろける様に甘かった。
貴方のことなら見ればなんでも分かる、
て、言いたいけれど
まだ分からないことがあるから
一つ一つ教えてね
貴方のその美しい唇で、
真実を見抜く視覚