贈物

□一万打感謝:お題
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すん、と鼻を寄せるといつも同じ匂い。
けど違う。今日は違う。
他の誰が気付かなくても今日は、違う。


「…浮気者。」


首筋に顔を埋めてまた深く嗅ぐ。
やっぱり違う。
気付いてないふりなんて、してあげない。


「生意気、」


がぶ、と咬みついてみたけど噛み切れない…まだ僕の中で儚い良心が疼いている。
ああ、けど許せない。
こんなにも愛しているのに浮気なんて。


「貴方は歩く独占欲、ですか?」


濡れた鮮やかな唇で弧を描いてクスクスと君が笑う。皮膚越しに伝わる振動に目を閉じた。


「捨て猫一匹、許せないんですか?」


許せない、許せないよ、
君に触れるもの全てが僕であればいい。
捨て猫一匹に注ぐ優しさを僕に寄越しな。


「可愛い猫さん、だいすき、」


いつもは奥手な舌がぺろり、と僕の頬を掠める。蜂蜜の声が耳に注がれる。
もう君は捨て猫のことを忘れただろう、?





君の身体に残ったのは
薄い噛み跡と
僕の匂い
それと、僕を抱きしめるためだけの腕






浮気を破る嗅覚





 
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