贈物
□未完熟果実
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嫌な予感は的中した。
雲雀は欠点は出すまい、と授業にも細心の注意を払ったし、質問にも面倒だったがなるべく答えてやった。それなのに、
「よりにもよって僕のクラスから欠点が出るなんてね…」
「す、すみません……」
雲雀と目を合わせることも出来ず、沢田は俯いたまま謝罪する。
最近多くなった溜息をつきつつ、雲雀は机の隅に置いておいたプリントの束を沢田の前に置いた。
「これから放課後に、このプリントやるから。」
(え、こんなにやるの……)
ざっと見ても5cmはありそうな束に沢田が心の中で素直な感想を述べていると、雲雀の眉間に皺がよる。
「何、君嫌なの。」
「へ…い、いや、あの……えっと嫌とかそういう訳じゃ、…あ、でも、…」
「嫌でもなんでもやってもらうから。」
「うっ……はい…。」
項垂れる沢田に呆れつつ、雲雀と沢田の特別補習講座は始まったのである。