贈物

□あなたという恋を
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黒い髪が白いシーツの上にうねるように散らばっている。それは微かに射し込む太陽光を反射して時たま綺羅綺羅と相手の目を焼いた。
ぬばまた色の髪は持ち主の頭の動きに合わせて白いシーツの上をさらさらと滑る。少しニキビ跡の残る手入れされた滑らかな肌は平時の白さを忘れたかのように紅く染まっていた。溺れているように白い指を伸ばす、相手の首もとへ伸ばす。

しかし首もとへ触れること叶わず、強い快楽に涙を溢してまたシーツの上にその指を絡ませた。


「ぁっ…もっと…!」


悲鳴の様な言葉にも眉一つ動かさずただ望まれるまま奥へ奥へ腰を動かす。何度目か分からない絶叫を白い空間に響かせてその行為は終わった。


「……ぁれ、?」


彼女が目を覚ました時にはいつもと変わらない保健室に戻っていた。開け放たれた窓からは蝉の声と野球部員の掛け声、そして生温い風が入ってきた。まるで夢でも見ていたかのようにあまりにもいつも通り過ぎる放課後だった。ただ何時もより大きくはだけた胸元だけがその余韻を残していた。


「私……何してたんだっけ…?」


彼女は何故自分が保健室にいるのか、記憶が朧気だった。よく分からない空虚感だけを胸にただただ唖然とベットに座り込んでいるしかなかった。


 
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