贈物

□私たち、恋愛中
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ピンポーンと沢田家の呼び鈴がなるとすぐに予測していたように扉が開いた。


「ボス…」

「クロームが来るかも、て骸が言ったからさ。クロームもご飯食べてく?」

「……いい。」


クロームが首を横に振るとそっか、と沢田は残念そうに呟いて今度は食べってってよと沢田家の、皆のママン沢田奈々のような優しい殺し文句を吐いてみせた。
この優しさに何人が膝を屈したのだろうか…勿論そんな沢田がクロームも大好きだ。でも六道骸のことも大好きだった。


「…ボス、骸様……」

「今母さんとお茶飲んでるけど…引きずってこようか?あ、クロームが来たっていったら多分勝手に……」

「違うの、待って、…ボスに、お願いがあるの。」

「何?」

「骸様とたねうまの人を、仲良くさせてあげたいの。」

「たねうまの、人?」

「たねうまのひと。」

「…………誰?」

「?」

「君達の会話って本当に進まないよね。」


中々帰ってこない沢田に文句を言いに来たであろう雲雀が沢田とクロームを見下ろす形で階段の手摺りに寄り掛かり、げんなりと感想を零した。


「…雲の人。」

「雲雀さんが雲の人だから…あれ?でも、たねうまって何?」

「跳ね馬からの造語だろ?」

「あっ、ディーノさん!」

「種馬とパイナップルをくっつけてどうするわけ?面倒ごとは御免だよ。」

「でも………骸様の、ため、だもの。」

「…クローム……」


クロームの言いたいことはイマイチ沢田には掴めなかったが、勇気を振り絞っていることは痛いほどにわかった。何か二人をくっつけなければいけない理由でもあるのかもしれない。


「良い考えがあるぞ。」

「リボーン!?」

「赤ん坊、例え君の話でも僕に利益はないんだけど。」

「まあ黙って聞けヒバリ。………お前等、Wデートしろ。」

「「は?」」

「お前等のことになると変態度があがる骸のことだ。ディーノ同伴でも喜々としてくる。そこでアイツ等の親密度をあげろ。」

「なんでそんなこと!」

「部下の願いは最大限聞き入れろ。それに聖夜ぐらい青春を謳歌しねーとな中学生」

「赤ん坊、まさかと思うけど。」

「そのまさかだ。」

「僕にメリットが無いって言ってるだろ」

「今年は三連休だからな、特例で冬休み!強化☆勉強は休みにしてやる。」

「………本当に邪魔しないわけ?」

「オレは自分の為の暇潰しの対価はそれなりに払うぞ。」

「奈々さんが寂しがらないの。」

「今年はハル達も来るらしいからな、女だけのパーティーにでもするぞ。」


しばし睨み合ったあと、雲雀は今回だけだからね、と視線を反らした。


「…………何の話…?てかリボーン、お前今暇潰しって言ったよな…!」

「ぐだぐだうるせーなツナ。ボスとしてしっかりデートしてこい。」

「もしやデート、と言いましたか?アルコバレーノ。」

「役者が揃ったな。」

「おや、クローム。お茶でも飲んでいきなさい。」

「……ここ俺の家なんだけど…」

「骸様。」


意を決したように六道を見つめたクロームに疑問を感じながら六道は優しくどうしましたか、僕のクローム、といつも通り寒気がする台詞を言ってのけた。


「…あのね、骸様、Wデートを…」

「僕の雲雀君と綱吉君とですか?いいですね。それに僕のクロームが加わるわけですか……いいですね。」


クフ、クフフフフ…と怪しい笑みを零し続ける六道にしらっとリボーンが「クロームじゃねーぞ」と真実を告げた。


「はい?」

「ディーノだ。」

「…………種馬…と?」

「つかず離れず、こいつらを見れるぞ。」

「ぐっ」

「寧ろその輪に入れるかもな。」

「ぐふっ」

「入れないけどね。」

「………この屈辱堪えて見せましょう!」

「交渉成立だぞ。」

「はあっ!?何言ってんだリボーン!」

「何、そんなに二人っきりが良かった?」

「なっ!そ、そんなこと……」


そっと肩を抱き寄せた雲雀に赤面しながらもごもごとしている間にリボーンからディーノに話がいくことは決まり、六道は不服そうにしながらも仲良くいちゃつく二人をガン見しては身悶えるのだった。


 
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