贈物

□私たち、恋愛中
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Wデート…それは仲の良い人間が四人集まってやるもの。勿論男女の話だ。仲が良いのか疑わしい男が四人集まったからと言ってWデートと言えるのだろうか?そんな常識的なことは沢田しか考えていなかった。
沢田以外は自分の利益だけは気にしているものの外聞は気にしていないらしい。


(雲雀さんは恐怖の代名詞だけど格好良いし、骸は顔だけは良いし、ディーノさんも王子様みたいに格好良いし…俺だけ浮くんじゃないのかな、これ。)

「綱吉、どうしたの?」

「あ、いえ。なんでもないです。」


楽しみにしていた24日のデート。
正直なことを言ってしまえば二人でしたかったし、そっちの方が雲雀の機嫌をいつも程度に気にするだけで良かったから沢田としても気が楽だったのだが。そんなことを沢田は考えながら沢田家まで迎えに来てくれた雲雀と一緒に遊園地へ向かう奈々達を見送り、六道達との待ち合わせ場所に向かっていた。


「嫌なら、止めようか。」


珍しく気を使ってくれる雲雀に慌てて沢田は首を横に振った。雲雀は若干機嫌を悪くしたようで、歩くスピードがやや早くなる


「ひ、ひばりさ…」

「君が嫌だ、て言ったら直ぐに止めるのに……僕だって不本意なんだから。」

「それでも付き合って、くれるんですね」

「赤ん坊との契約があるからね。君が嫌がらない限りそれを破るつもりはない。」

「対価とかなんとか、てリボーンと話してた話ですか?」

「そう。」

「何をやってもら」

「綱吉君!雲雀君!あなた方の六道骸ですよっ!!」


対価は何だったのか聞こうとしたところで前からパイナップルもとい六道が胡散臭い微笑みを浮かべて雲雀と沢田に手を振りながら向かって来た。


「骸……」


時間に厳しい雲雀の指示で10分前に着くように家を出て来た筈なのだが、鼻や耳を赤らめ、どう見積もっても30分以上此処にいただろとしか言いようのない六道の様子に思わず沢田は苦笑いを零した。
本当に沢田達は六道に好かれてしまったらしい。過去に戦ったとは思えない。


「ちょっと、気持ち悪いから止めてよ。」

「これは失敬。僕としたこと、が…」

「骸…?」


クフフ、といつもの笑みを零したかと思うと沢田を上から下までじっとりと、それはじっとりと眺め回し、六道は溜め息をついた。


「綱吉君、駄目です。」

「は?何が??」

「綱吉君、デートですよ。デート!何ですかその色気の無い格好は……」

「俺に色気を求めるな!!」

「その格好はその格好でいつも通り可愛らしいですが、今日はそのワンランク上を目指すべきなんじゃないですか!!」

「……迷彩柄のTシャツ着てるお前に言われたくないんだけど。」


沢田と六道があーだこーだ議論しているのに関わりたくないのか、雲雀は少し離れた場所で壁にもたれて思考を巡らせていた。
本当は沢田と商店街で買い物をして食事をして、と雲雀なりにプランがあったのだ。


(また今度でいいか。)


どこか達観したように昼間から黄昏れていると近くでズザーと誰かがスライディングをした音がした。滑ったとか転んだとかではなく完璧なスライディング音。
当然待ち合わせ場所の商店街入口は綺麗に舗装されているため傷だらけであろうことは安易に予想された。
最初にそれを心配したのはやはりというか当然の如く沢田である。


「で、ディーノさん!?」

「おう、ツナ…おはよう。」


額から血を流しながらもディーノは沢田にへらりと笑ってみせた。しかし沢田はそんなことでは流されず慌ててハンカチか何か拭くものを探していると張本人のディーノがそれを制した。


「大丈夫だ、すぐ止まるからよ。」


そして目線だけで雲雀を指し、小声でこそこそと話し出す。


「恭弥のやつ、すんげー機嫌わりーじゃん……あんま刺激しないようにさ。」

「は、はあ…」

「………綱吉、行くよ。」

「は、はい!」


ディーノが指摘したように大層機嫌の悪くなった雲雀に呼ばれ沢田はなくなく立ち上がった。苦笑いしか出来ないディーノに留めを刺すように何かがディーノに向かって投げ付けられた。それはぺちんと良い音をディーノの額と起てたあと地面に落ちる。


「絆創膏…?」


束になった絆創膏が早く貼れよ、という顔をしてディーノの前に落ちている。


「誰が…」


辺りは雲雀の策略のお陰なのか何なのか、人がまばらで見回すまでもなく1番近くにいる雲雀か沢田か六道ぐらいしかいない。
雲雀がそんなことをする筈なく、沢田はさせてもらえる筈もなく、六道もする筈ないのだが……


「これ、…骸が……?」


ぽつりと呟くと射殺されそうな視線で六道に睨まれる。視線は早くしろこの種馬!と言っているのだろうがディーノには愛の囁きの如く聞こえてしまう。


「むくろー!ありがとー!!」


感動に瞳を潤ませ、六道に抱きつくと六道は頬を引き攣らせてそれを振り払った。


「これは綱吉君が怪我したとき用に用意していたんです!あなたの為じゃありませんからっ!」

「…ツンデレ。」

「雲雀さんは最近そういう言葉をどこで聞いてくるんですか。」

「六道。」

「………そうですか、」


雲雀の口から意外な単語を聞きつつしばし二人は六道とディーノの問答を傍聴するのであった。


 
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