贈物
□優しい恋の話をしよう
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毎日校門に立っている風紀委員は、ある人物を抜いて全員リーゼント。全員揃うのは風紀強化週間か定期検査、抜き打ち検査ぐらいのもので滅多にないが代わりに運が悪いと恐怖の代名詞が仁王立ちしていることも……
「綱吉、良い度胸だね。」
「ち、遅刻してないんだけど。」
風紀委員長がいる日には血の雨が降る筈だが今日はブリザードが吹き荒れている。いや、真冬だから並中の生徒にそんな幻覚が見えているのだろうか。
「僕の言いたいこと、わかるだろ。」
「分かんないから直してないんだけど。」
「へえ、どの口がそんなことを言うわけ?」
「この口ですが。」
「よくその無い頭で考えてごらんよ。」
「失礼な…!」
「事実だろ。」
「っ…」
じっと雲雀を睨み付ける沢田に必然的に生徒達の視線は集まる。雲雀に噛み付く命知らずは誰なのか、あれはダメツナだ、と疑問の声や沢田の不名誉なあだ名が二人を包む。
「スカート。」
「は?」
「君、スカート折ってるだろ。」
「校則違反じゃないもん。」
「長さが違反じゃなくても折り曲げてるのが悪い、て君の空っぽな頭じゃ分からないわけ?」
「良いじゃん一回くらい!」
「校則は守るためにあるんだよ。」
「そ、そうだけど……」
「………。」
「………。」
「制服改造でペナルティね。」
「ええー!!?」
「勿論、君以外も例外じゃないよ。」
ギロリと風紀の目が遠巻きに二人を見ていた群れ達に注がれる。
「草壁。」
「わかりました。」
そのやりとりを合図に次々と女子達は風紀委員に捕まり反省文提出を命じられた。
「お、俺をだしにつかったの!?」
「良い鴨が歩いてきたからね。」
「ひどっ!それに今日の朝も起こしてあげたのに先に行くし!」
「起きたあとにノロノロしてるし、綱吉足遅いもん。」
「馬鹿っ!!」
「綱吉、放課後ペナルティね。あと、」
「なんだよー!」
「俺て言わない。」
「馬鹿ぁっーーー!!!」
とろとろと走り去る沢田を眺めながらあの口の悪さは誰に似たのか、と雲雀は溜め息をつくのであった。