企画用ブック
□彼の眼鏡姿。
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恐ろしいほど似合うその姿に、驚きを通り越して笑ってしまった。
「何か文句あるの」
「いいえ、何でもないわ」
あの雲雀恭弥が眼鏡をかけている。
戦うには、その眼鏡はどう考えても邪魔で。この子は絶対かけないだろうと思っていたのに。
「何か言いたそうな顔してるけど」
書類をまとめる手を止める恭と、レンズ越しに目が合う。
切れ長の目は眼鏡のフレームによっていくらか緩和されて優しく見える。
いつもと違う印象が新鮮で思わずじっと見つめてしまう。
この子はきっと何をしても似合うのだろう、恭はそういう人間だ。
「視力でも落ちたの?」
「…ああ、これ?」
眼鏡に触れると、少しだけ顔を緩めた。
…良いことでもあったのかしら?
「兄さんの、真似」
「成る程」
合点がいった。
同じ顔の兄がよく眼鏡をかけて秘書業務をこなしている。
彼も、眼鏡がよく似合う。
「似合ってるわ」
「当たり前でしょ」
自信満々に言う恭に、また笑ってしまった。
彼の眼鏡姿。
(少し、どきっとしたのは内緒よ)
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