企画用ブック
□眼鏡マジック。
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「とうしろー、とーしろー」
と。
腑抜けた声で俺を呼ぶアホ女に、溜め息しか出ない。
無視して書類をまとめていれば、豪快に襖が開く。すぱん!と音をたてるからガキかこいつは、とまた溜め息しか出ない。
「見てくださいよー!これ、これ!」
無理矢理顔を向けさせられれば、楽しそうなアホ面が視界一杯に広がる。
ただ、
「……眼鏡?」
眼鏡をかけていたのだ。
それだけでアホ面が知的に見えるのだから酷いもんだ。詐欺極まりない。
「買ってみました」
じゃじゃーん、どうですか?どうですか?と嬉しそうにするアホのあたmを無言で叩く。
「いったい!!何するんですか!!」
「…似合わねえ、外せ」
と。眼鏡を奪い取る。
眼鏡マジック。
こんなん、他の隊士が見たら職務怠慢するに違いねえ。
(見るのは、俺だけで良い。)