CP小説
□good medicine -良薬-
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「なぁ‥‥人間の魂っちゅうんは、死んだら何処に行くんやろか?」
ふと窓の外を見ていた忍足が呟いた。
よく晴れた秋空だが、今日は少し風が強い。
洋書を読んでいた俺は、忍足の肩に掛かっているカーディガンを掛け直して「さぁな」と無関心そうに答え、また本に目を移した。
氷帝の天才と呼ばれていた頃の彼は居ない。
今は原因不明の病で床に臥せている。
(また少し痩せたか?)
「なぁ跡部。」
「なんだ‥」
「俺が死んだらきっと俺の魂はこの世界に浮遊するんちゃうかな‥?」
忍足はおどけたようにそう言ってみせた。
「何言って‥‥」
あまりにも唐突な問い掛けに、間抜けた答えしか返せなかった。
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