CP小説

□good medicine -良薬-
1ページ/5ページ




「なぁ‥‥人間の魂っちゅうんは、死んだら何処に行くんやろか?」



ふと窓の外を見ていた忍足が呟いた。
よく晴れた秋空だが、今日は少し風が強い。

洋書を読んでいた俺は、忍足の肩に掛かっているカーディガンを掛け直して「さぁな」と無関心そうに答え、また本に目を移した。

氷帝の天才と呼ばれていた頃の彼は居ない。

今は原因不明の病で床に臥せている。


(また少し痩せたか?)




「なぁ跡部。」


「なんだ‥」



「俺が死んだらきっと俺の魂はこの世界に浮遊するんちゃうかな‥?」


忍足はおどけたようにそう言ってみせた。


「何言って‥‥」


あまりにも唐突な問い掛けに、間抜けた答えしか返せなかった。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ