FE小説

□姫の手を握る
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「り、リンディス様!?」

「あら、ケント」



リンに仕事の書類を持ってきたケントは扉をノックして部屋に入る許可を貰っている

しかし、リンの普段とは違う服装に驚いて見事に書類をぶちまけてしまう



「ケント、大丈夫?」

「は、はい…!」



普段は髪の毛を簡単にまとめ、サカで暮らしていた頃の服を好き好んで着ていたが…

今日は、髪を真っ直ぐに綺麗に下ろし…

更には純白でスカートも長くゆったりとした優雅なドレスを着ていた



「あ、もしかして似合わないかしら?」

「そのような事はありません!とても似合っています!」



綺麗なリンの姿に終始戸惑いつくすケント

そんなケントを見てリンは自然と笑みがほころぶ



「ふふ、ありがとうケント」

「いえ…そのドレスはどうなさったのですか?」



ようやく少しは落ち着いてきたらしいケントは書類を拾い集めながら質問をする

リンも、ドレス姿のまま書類を拾うのを手伝う



「今度の晩餐会でコレを着てくださいってレーゼマンさんが用意してくれたの。サカの服じゃ目立つからって」

「………」




とにかく美しい

そんな単純な感想しかでないが……見とれてしまう



「…ケント?」

「あ、いえ!」



名前を呼ばれてようやく意識を取り戻す

今思えば主君たるリンに書類を拾うのを手伝わせているなんて…



「その…とても綺麗、です」

「ふふ、さっき誉めてくれたばかりじゃない」



確かに似合ってると自分は言った

…もう少しまともな誉め言葉くらい用意できないものかと自分を責たくなる



「でも…ありがとうケント。ケントにこの姿を誉めてもらえると嬉しいわ」

「リンディス様…」



リンの何気ない普通の笑顔

それでも服装が変わり、雰囲気も変われば…

いつも以上にケントの心臓はおちつかなくなってしまう



「そうだケント。そのうちダンスパーティーとかも出るらしいんだけど…
ケントはダンスとか踊れる?」

「…多少なら」

「じゃあ…教えてくれないかしら?私はサカの民族の踊りしかしらないし」



騎士の鎧姿では今のリンディス様にふさわしくないかもしれないが…

リンディス様の手を握り、返事を返す



「喜んで…お姫様」




私は美しい貴女にふさわしい男になれるだろうか

いや、絶対になってみせよう








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