FE小説
□手を触れあって
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「…また背が伸びた?」
「え?」
机の前で山のようにある書類に目を通していたミカヤだが急にサザにそんな事を言う
仕事が忙しいだろうと思っていたサザは邪魔をしないようにと静かに紅茶でも煎れていた物だから唐突の事に間の抜けた声を出してしまった
「そう、か?自分じゃよく分からないな」
「絶対に背が伸びてるわ。だって目線がまた上がったもの」
昔は私より小さかったのに…とまた少し感傷に浸る
けど成長するサザを見ていると寂しい反面、何処か嬉しいとも感じたりする
「ちょっと手を貸してくれる?」
「?」
ミカヤに言われた通りにサザは自分の右手を差し出す
ミカヤは、差し出されたサザの手を自分の両手で優しく包んで胸元に持っていった
「本当に、大きくなったわね」
いつから手を握った時に小さな男の子の手ではなく大きく逞しい手だと感じたのだろう
最初は母の様な姉の様な感覚で少し寂しさも感じたけども
「サザの手って暖かくて落ち着く…」
目を閉じてサザの手の温もりを感じると心が休まる
いつの間にかこの手に安らぎを感じて、一人の女としてサザの手を好きになる
「ミカヤ…」
少し気恥ずかしそうに私を見つめ返すサザ
でも、今は絶対に離してあげない
「好きって言ってくれるまで、離さないから」
少し困った表情を見せたサザだったけれどすぐに笑顔になった
「…好きだ、ミカヤ」
サザの笑顔と台詞で今度はミカヤの方が気恥ずかしくなって下をうつ向いてしまう
そんなミカヤに対しサザは空いてる片手でミカヤの顔に触れる
「大好きだミカヤ」
「私もよ、サザ」
仕事を疎かにして今はただ二人で触れあっていたかった
→あとがき