FE小説

□殴る拳で思う事
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大切な、妹だ

たった一人の家族で昔から守ってやるのは兄として当たり前

だが…そろそろオレは必要ないのか?

日に日に綺麗になっていくミストにはいろんな男が近寄ってきて…

傭兵団の中でもボーレやヨファがミストに気があるのは恋愛に疎いオレでも分かる

あいつらに、大切な妹を任せるのは多少複雑な気持ちではあるが…

共に戦う仲間だ。もし妹を任せても大丈夫だろうと一応は安心している

…と、なるとオレはやはり邪魔じゃないか?

自分で言うのも何だが筋肉の多いむさ苦しい兄貴が近くにいても近寄り難いだけだろう



「もう!またボーレとヨファが喧嘩してる!」

「………」



いつも通り他人からしてみればくだらない内容で喧嘩するボーレとヨファの仲裁をしに行くミスト

…先程の任せても安心はできる、というのは今にでも否定してやりたくなった



「お兄ちゃん、止めるの手伝って!」

「…仕方ないな」



今にも取っ組み合いになりそうな勢いで喧嘩する二人の間に入り、喧嘩なら誰の目にも入らない他所でやれと忠告する


…が、互いに人の話しを聞く状態ではないのでオレは力の限り頭上から拳を降り下ろした



「お兄ちゃん、ありがと!」

「いや…」



二人で仲良く頭を押さえる兄弟を尻目にようやく安堵の息を吐くミスト

二人の喧嘩は見慣れた物だし収まれば殴ってでも良いみたいだ



「………」

「…お兄ちゃん?」



普段使わない頭が今はミストで一杯だ

ミストに安心してほしい、幸せになってほしい…



「仲良くしろよ、お前ら」

「…は?」



未だに頭を押さえる二人の肩に手をポンと乗せながらそんな事を言うと間の抜けた声が帰ってくる

どちらが言ったかは興味ないから気にしないでその場を後にする事にした



「…アイクのヤツ、一体どうしたんだ?」

「さぁ…」



オレが仲裁に入るのがそんなに不思議なのか顔を見合わせる二人

…とりあえず喧嘩は収まったようだ








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