FE小説
□彼女の手料理
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「お兄ちゃん、美味しい?」
「ああ。美味いぞ」
「…味わって食べてる?」
アイクに手料理を作り、食べさせるミスト
肉料理の新作で、肉が好きなアイクに食べさせて味の感想を聞いてみようと試みたが…
「…何処か改良した方が良いところある?」
「このままでも美味しいが」
肉料理を勢いよく美味しそうに食べるアイクに料理の助言は期待できなかった
コレは普通にオスカーさんに食べてもらった方が良かったかも、と軽くため息を吐くミスト
「お前も本当に料理が上手くなったな。
俺が肉が好きだとはいえ、とにかく美味しいと思う」
「そ、そうかな?」
料理の助言こそはなかったが兄に誉められて先程のため息は何処に行ったのかミストの顔に少し笑顔がほころぶ
やはり、料理を素直に美味しいと言ってくれるのは嬉しいものがある
そんな仲良しな兄妹を同じ食卓にいながら寂しそうに見つめる男がいた
「はぁ…」
ミストのため息は彼に移動したのかため息が勢いよく口から出た
寂しそうに見つめていた彼…ボーレは再び仲の良い兄妹を見つめる
「どうしたの?さっきからため息ばかりついて」
「………!!」
急に、ミストがボーレに近づいた
しっとりした気分に落ちていたボーレは驚いて手に持っていた料理を落としそうになる
「な、なんでもねぇよ」
「そう?」
ビックリして大した言葉もミストに返してやる事もできず、自分を心の中で攻めたくなる
それに、自分も彼女の新作料理を食べてみたかったと彼女の実の兄に嫉妬してるなんて情けない事を言えるはずもない
「…そうだ。まだ私の新作料理余ってるんだけどボーレも食べる?」
「いいのか!?」
ミストの嬉しい提案につい声を上げてしまうボーレ
声を上げて喜んだ事に後から気がついて少し恥ずかしくなる
「新しい料理、お兄ちゃんにも食べてほしいけど…
やっぱり、ボーレにも食べてほしいんだよね」
「ミスト…」
少し恥ずかしげに言うミストを見てこれ程までに嬉しい事はない、と嬉しさのあまり涙も流しそうになるほど喜ぶボーレ
「…話に割って入ってすまないが…」
「なんだよアイク!?おかわりするとか言うんじゃないだろうな!」
良い雰囲気でせっかくミストの料理が食べれるのに、と喜んでる最中に彼女の兄アイクが話し割って入る
「すまないと言ってるだろ。
それに、俺に怒ってないで早く料理をとってきた方が良い」
「何で?」
ボーレではなく、ミストが兄に質問をする
流石に歓喜のあまり暴走してるボーレでなくてもアイクの話しは気になるようだ
「今、お腹を空かせたイレースがフラフラしながら厨房に入っていったぞ。
急がないと料理が…」
「なにぃ!?」
話しを最後まで聞かずともアイクの言いたい事が分かったボーレは急いで厨房に駆ける
イレースといえば軍隊一で、ラグスの大食いをも超える食欲の持ち主で…
「…量が少ないけど美味しい、です」
「ああー!!!」
ボーレが厨房に入った時にはすでに食い終わったイレースがいて…
ボーレは力なくその場に崩れた
「…オスカーさん。少し料理を作ってくれませんか…?」
「ああ。今日は食材も多めにあるし構わないよ」
ミストの料理だけではな飽きたらず、厨房にいたオスカーに料理を頼むイレース
そんなイレースを見て力なく座るボーレに対し…
「ま、また作ってあげるから…」
そんな言葉しかかけられないミストであった
→あとがき