FE小説

□街中での一時
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「お!キミ可愛いねぇ」

「一緒に遊びに行かない?」

「え…?」



行商団の人達と少し離れて美味しい料理がないかと一人ふらついていたイレース

唐突に背が高く、少し強面のお兄さん二人に囲まれ、声をかけられて行く手を阻まれてしまった…



「あの、そこを通りたいのですが…」

「そんな冷たいコト言うなよー」

「キミ、この辺りじゃ見かけないし旅してるんだろ?
面白いトコ知ってるぜ?」



あくまで道を開けてイレースを遠そうとしない二人組

二人はイレースが男慣れしておらず、どぎまぎしてるウブな女の子に見えるのかもしれないが彼女にしてみればそろそろお腹が空きすぎて限界なだけだったりする



「美味しいレストランとか知ってるしさ?
おごってあげるよ?」

「美味しいレストラン…!本当ですか?」



適当にとにかく口から出していたナンパの台詞の一つにイレースが乗っかり、ナンパ男達は満足げな顔をする

無論、イレースもタダでご飯を食べられると一気に上機嫌だ

そうして二人に連れられ歩き出そうとした最中、唐突に聞きなれた声がイレースを呼び止めた



「あれ?イレースじゃないか?」

「ツイハークさん…?」



背後にいたのはイレースに声をかけた男達同様に背は高いが、柔らかい物腰の男性だった



「疑問系なのは微妙だけど名前を覚えてくれてて嬉しいよ」

「ツイハークさんの名前、忘れるはずがありません」



ツイハークが爽やかな笑顔で会話するのと同時にイレースも柔らかく微笑みながら返事をする

そんな二人ののほほんとした会話に見かねて二人のナンパ男達は声を荒げた



「おい!先にこの子に声をかけたのはオレ達だぞ!」

「…いや、君達を助けるためにも彼女に声をかけたんだけどね」



なに…?と男達の反応が少し変わる

とりあえず、ツイハークの話を最後まで聞いてみる事にしたようだ



「まず彼女はとてつもない大食いで君達のような人の財布泣かせだ。
それに一生懸命彼女に貢献しても名前を覚えるのが苦手と精神的にも泣かせてくれるよ」

「し、信じられるかよ…!」



二人組の男達にしてみれば後から来たツイハークが獲物を横取りしにきてるようにしか感じなかった

だけどツイハークの次の一言で彼らは完全にイレースを諦める事になっる



「その証拠に…出会って早々にオレは名前を覚えててくれて嬉しかったと口にしたんだ。
イレースにしてみれば忘れるはずがない名前にしてもオレからしてみれば信用がないし」

「ぐ…!」



ツイハークにここまで言われ、流石に折れた男達だった

諦めて二人は何処か歩いて行ってしまう



「ツイハークさん…」

「ああ、大丈夫だったかい?」



最終的にはエサに釣られそうになってたがナンパされて困ってたイレースを助けた形だ

ここならお礼の言葉の一つは返ってくるのが普通だとツイハークは思うが…



「どうして邪魔したんですか?
せっかくご飯が沢山食べれたのに…」

「…やっぱ相変わらずだね、君は」



さっき男達に言った通り、イレースのために声をかけたのではなく二人が惨めな思いをしないように助けたような気分になってきた

ちなみに助けても誰からもお礼の言葉はないしイレースからはちょっとした不服な視線が送られてくる



「やれやれ…代わりに少しならオレがご飯を奢ってあげるよ」

「…!本当ですか!?」

「…君は本当に現金なヤツだな」



呆れて物も言えなくなってくるが…

正直、その無垢で純粋な子供の瞳みたいにキラキラしながら喜ぶ姿は反則だと思う


































…無駄に可愛いからね








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