□約束やぶり
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「さかえぐちごめんってー」

「水谷のばかっ!知らないっ!」

昼休みの屋上に、野球部二人の声が響く。


約束やぶり


「だって、栄口があんまりにも可愛かったから…」

「学校ではキスもえっちもしないって約束したのに…」

ぎゃぁぎゃぁと言い合いをしていると、ぎい、と扉が開いた。


「おわ!」

「泉っ!」

栄口は扉の向こうに居る泉を見付けて飛び付いた。

「栄口どうした?」

「う…、」

「何?」

「水谷が…水谷が…」

「あー…」

成る程、と納得すると栄口の頭をぽんぽんと撫でて落ち着かせた。


(…なんか、なんか…、)


胸がずきずきして、息苦しい。
俺が泉に嫉妬?まさか。

脳裏に浮かぶ言葉を消す為にぶんぶんと首を横に振った。

「おい、水谷」

「え、あ、何」

「栄口がいくら可愛くてもちゃんと約束は守らなきゃ駄目だぜ?」

「う…」

「はは、水谷図星かよ」

へらへらと、笑って泉は俺の隣に座って栄口は泉の隣に座った。
隣に栄口が座ってないのはちょっと気に入らないけど、栄口は泉に懐いてる見たいだし…。

(なんだか、なぁ…。)

「俺さ、」

ふ、と泉が口を開く。

「ん、」

「俺、お前等と居ると落ち着くんだ。」

「う、ん…?」

「…だから、お前等が俺の居場所なんだって!」

そう言い残して泉は走って行ってしまった。
…泉にとって俺達の空間が居心地いいの?
それって、信頼されてるって事だ、よね。
それに、泉には浜田さん居るの知ってるのに…、
あぁ、なんて子供地味た嫉妬。


「さ、栄口…?」

「……ん」

「ごめんね、栄口。」

そっと栄口に近付いて栄口を俺の膝へと招いた。

「眩しい…水谷…」

「あは、ごめん、」

太陽の光に照らされてきらきらと光る栄口の髪が凄く綺麗で愛しくなって。

「さかえぐち、」

「…なに」

「まだ怒ってますか?」

「………。」

「ごめんね、」

君の可愛い手を取って、掌にちゅ、と唇を落とした。

「…お昼のジュース……」

「うん?」

「ジュース一週間分…ね、」

「う…」

「嫌ならいいよ、」

「や、じゃないです」

なんて俺を扱うのうまいんだ!

あぁ、でも従っちゃう俺も、俺だけど。




end




!!!
水谷なら、約束すぐ破りそうだけどね。
ちょっと子悪魔な栄口君。
泉は二人を見守る会なのです。絶賛応援中。

因みに、キスされたのか、にゃんにゃんしたのかは、ご想像にお任せします(*´¬`*)♪

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