□口は災いの元
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ぐいぐいと引っ張るその手を振り払う事なんて、簡単な事なのに。


口は災いの元


何を思ったか、何が気に入らなかったのか。
俺の手を取り人気の無い所へ連れていこうとする。
なんて、俺様主義な奴だ、と心の中で思った。
榛名さんの事だ、口にすると何をされるか分からない。



けど、俺にだって。



断る権利だってある。



「ちょ、何すんですか」

声を掛けても一向に反応が無い。聞こえない筈は無い。
呆れた、どれだけ、俺様主義なんだ、と。


俺は腹が立って今度はさっきよりも大きな声で言った。


「ちょ、はるにゃさ………ッ!?」



一瞬自分の耳を疑った。



しまった、と思った時にはもう遅くて、目の前にはにや、といやらしく笑う榛名さんの顔があって。


「なに、今の?」

くくっ、と笑いながら聞いてくる。
さっきまであんなに鋭い目だった癖に。


「…なんでもないです、」


「ふぅん、はるにゃって、お前…」


くつくつ笑う榛名さんを見て、言い返すことも忘れてしまった。


「…噛んだんです、悪いですか。」

「大声で噛むなんて、恥ずかしい奴だな、」

「だって、止まってくれなかったじゃないですか。あんたが悪いんですよ。」

「はぁ?噛んだの俺のせいにするのか?」

「そうですよ、元はと言えば、「はるにゃさんが」」


にた、と笑って俺をみる。
話は進まないしさっきから、俺ばっかり見て笑うし。
なんなんだ、この人。
いらいらする。


「そう怒るなって、タカヤ!」

「へ、?」

「何、間抜けな声出してんだよ、タカヤ」

この人が人の事気にするのなんて、滅多に無いから、驚いた。
いつも、自分が1番な人だから。
自分さえ良ければ、を幾度と無く見て来たから。



「なんでも、無いですっ!てかなんか俺に用あったんじゃないんですか、」

「あー、忘れた、」

「はぁ!?」

「いや、余りにもお前が面白くて言おうと思ってた事忘れた。」

「はぁ、」

小さく溜息をついて肩を落とした。

「ま、練習戻ろうぜ」

ぽん、と肩を叩き、颯爽とグラウンドに帰ってしまった。


「なんなんだ、よ。」


俺様主義で人の事なんて気にかけない癖に。
人の前で笑わない癖に。


今日だけは、今回だけは、笑顔に免じて許してやろう、そう思った阿部だった。





end




!!!
遊びに言った時の会話からが始まり。
阿部に噛ませてみろ、よ。と(笑)
某友人からの勧めで書いてみ、と。

とりあえずべたな噛ませ方だな、まったく\(^O^)/

寧ろ榛名は、はるにゃだよねっ、そうだよねっ!!!

うん、楽しく書けたので良かったで、すっ!!!!←無理矢理まとめた

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