□You don't know it.
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どうしよう、どうしよう。
胸がドキドキして、身体が熱くて、熱があるのかなってちょっと気になったり。
とにかくさっきから、心臓がドキドキ煩い。


You don't know it.


「あー、わからねー!!」

ぎゃんぎゃんと俺の目の前で吠える田島。

「だから、これさっき言っただろ!」

放課後の教室。
俺と田島の声が引っ切り無しに響く。
授業で受けた小テストの点数が悪い為に居残りでプリントの課題を出された。

「あー、英語なんていらねーっ!!」

俺は生粋の日本人だから、ゲンミツに日本語喋れたらそれでいいんだ!とか、訳の分からない事を吐かす。

「それ、終わんねぇと帰れないんだかんな!」

負けじと俺も反撃する。
幸い今日は週に一度のミーティングの日で、部活は休み。
こんな日位、頼むからゆっくりさせてほしい、なんて俺の我が儘だろうか。

「あー、わからないわからないっ!!何がわかんないのかもわかんないっ!!」

「はぁ…だからな…」

と、プリントの英文に日本語訳を書いてやる。



「これで、わかんだんんっ…」



顔を上げた瞬間にキスされた。



「な、ちょ、おまっ!?」

「いや、花井とキスしたいなあーって。」

「はぁ?バカも休み休み言え!」

「俺はいつだってホンキだ!」

「んな事言ってる暇があるなら、早く解けよ!」

「ん、だから、わかんねーのっ!!」



さっきから、何度も同じ事を繰り返して、正直俺は疲れた…と、言うより呆れた、と言った方が正しいか。




「なぁなぁー」


「何?」


「愛してるってなんつーんだっけ?」


「……は?」


「や、だから、愛してるを英語で言うと何?」


「I love you.だろ?」


「……あいらぶ、ゆー…」


「それが、な…うぉ!!びっくりした!!」




いきなり両手で顔を掴まれ田島の顔がドアップになる。
恥ずかしくてふい、と目を反らしても、ぐい、と田島の顔は近くなる一方で。



「はない!あいらぶゆーっ!!」


「……………」


「あ、れ花井?」


「………for ever love.」


「え、何!?意味は?!!」


「ぜってー言わねーっ!!!(てか、言えねーっ!!)」





田島は、まだ、知らなくていいよ。
この、胸のどきどきも、
この、英語の意味も。

これからも、いや、永遠に。






end





!!!
梓に英語を喋らせたかったの、で…つい!!
田島はとことんおバカさんです(いい意味で)
英語は全部梓に任せっきりで、ね!!

うひひ、タジハナは書いてて楽しいですっ。

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