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□For a little white...
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「う、あ、阿部く、ん…?」
三橋の声が、体温が、俺を満たす…。
For a little white...
それは練習が終わったいつもの帰り道。
俺はいつものように三橋と帰る。
クラスが違う分一緒に居られないけど、帰りは毎日と言っていいほど三橋と帰る。
バッテリーなんだから、と言われ最初は半分強制かよ…、と思いながらも今はこの帰り道さえも良き時間になっている。
「あ、べ…くん、」
「え、何?」
「お、俺…み、ち…」
「あ、あぁ…。」
家への分岐点。
なんど俺の家と三橋ん家が近所だったら…と、思った事か。
なんで、もっとコイツと一緒に居られないのか、とか…。
明日になるのが待ち遠しくて、コイツの球を受けるのは俺だけ、だとか…。
そんな独占欲に駆られてみたり。
「あ、べ君?」
不安そうに俺を見る三橋、
夜空に浮かぶ月が三橋の髪を照らしキラキラと、まるで星の様に光る。
「あ、三橋…」
カタンと、自転車を止め三橋に近付く。
この時間に此処を通る人は少ない。
俺は自転車を押したままの三橋を抱きしめた、
「う、あ…阿部く、ん…?」
「み、はし…」
あぁ、何で時の流れは早く、こうも儚いのだろう…
けど、俺が求めていたのは三橋自身で…
自分だけが、三橋を必要としてるだけなんじゃないか、とか…、
「阿部、く…ん、俺、阿部君が……好き、だよ…、」
……あぁ、そうか。
俺は三橋を…
三橋は俺を…
求めてたんだ−…。
「三橋…」
「う、え…?」
「もう少し、このまま…な。」
「う……ぁ、う、ん。」
このまま時が止まればいいな、とか。
俺らしくない事考えてみたり。
…無理なのはわかってる、
だから、もう少し、もう少しこのまま三橋を感じていたい−…。
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