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□願いを込めて、
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織り姫と彦星は一年に一度しか、会えないだなんて。
そうだとしたら、俺は365日、お前に会えるって事、だよな。
願いを込めて、
「花井っ!」
練習が終わって部室で着替えてる時だった。
田島の場合、練習着の上だけ脱いでアンダーのままで帰るつもりなんだろう。
そんな恰好のまま、俺に話しかけて来た。
「どした、」
正直、今日の練習はいつもよりきつかったし、出来ることなら早く家に帰りたいんだけど、そうはいかなくなった。
「今日、空いてる?」
空いてない、と言いたいところだが、生憎俺等は恋人同士で。(と、言っても部内では秘密だけど。)
「空いて、る。」
「じゃ、一緒にかえろーぜ!」
じゃ、外いるかんなっ、そう言い残して田島は部室を後にした。
一体、何があるってゆーんだ、
不安になりながらも、練習着を鞄に無理矢理押し込んで、田島の元に向かった。
「お待たせ、」
「早く帰ろうぜー!」
とは、言ったものの、田島の家は学校からチャリで1分だし、何をそんなに急ぐことがあるだろうか、
「びっくりすんなよ、花井っ!」
「何に、だ」
そう言いながら自転車を置く、玄関ではなく、裏庭に案内される。
月明かりに照らされたソレは俺より倍位でかくて、綺麗に装飾された物だった。