戦国(イクサ)の言葉

□ワールド・エンド
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………この、者は。
「女子」なのだ。

女子なのにも関わらず、彼女は戦場に出、刃を奮った。
だが俺は、その姿にこそ惚れた。
だからこそ接し、そして恋人同士にもなった。


…だが、彼女とは恋人であると同時に、rivalでもあった。
敵同士な俺達は、互いが死ぬ時は、相手の手で、と約束もしていた。



…だが。



彼女とは、途中で決別した。
婚約を申し込もうとした時、それよりも先に彼女が別れを切り出したのだ。


――間もなく、大きな戦が始まりまする。
――某は、武田の者として…戦に赴きまする

――…そなたとは、もう逢えぬかも知れませぬ……



…一方的な話だった。
有無を言わせぬ物言いだった。

彼女は覚悟していた。
己が、死ぬかもしれないと。




「…畜生……っ畜生!!」
「ま…さ…む……」
「やはり止めるべきだった……そうでなければ、アンタは」
「…責めな…いで……」


弱々しい力で、手を握られた。
……まだ、ほんの少しだけ、暖かい。


「そなたの…せいでは…」
「だがっ………」
「…お…願……っ」


また、水を吐き出す。
抱き締める力を一層強くし、頭をなぜる。


――この存在を、失いたくない。
だが、彼女は、もう。






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