01/09の日記

21:56
決意までのカウントダウン(親就)
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「俺と行くか?」


突如言われた言葉に、元就は何かわからず眉をよせる。
隣にいた元親は出航の準備をする自分の船を見つめていた。


「俺達とさ、このでっかい海を渡って、お宝を探して、」
「…何を言って」
「こんな時代から逃げないか、ってことだ」


何の冗談か、
元就はそう切りかえせなかった。
元親の表情を真剣、冗談を言うようなものではない。
船は着々と出航の準備を進めている。


「なあ、逃げないか?」
「………どこ、から」
「この時代」
「……………何を」
「このままここにいたら」


隣の男がようやくこちらを向いた。
しかし、



「…俺は元就を殺すことになる」



それは、ひとりの武将の眼をしていた。
男と男でない武将と武将、それも敵同士の二人である。

だがこの場で争わないのも、



「俺はよ、……嫌だ、元就を殺すのは」
「………」
「一生後悔するのが目に見えている」


部下たちの様子を見れば、そろそろ準備が整う形だ。
だが元親は離れない、



「…だから、来いよ」



元就の目の前に、大きな手が差し伸べられる。
だがそれをとることも突き放すことも、


彼には、できなかった。


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大戦前の二人。

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