01/16の日記

22:48
熱、伝導(政幸♀夫婦)
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※一応甘々期





「……限界だ」



そう呟く政宗の眼には疲労がはっきりと見て取れた。
立て続けに起こる戦や反乱、そして凶作。
様々な物事が彼をじわじわと苦しめていた。

自室で頭を抱える夫を幸はただ見守ることぐらいしか出来なかった。


「…俺がどうしたって…?なぜ民や部下ばかり苦しんで……」
「………」
「…何やってんだ俺は」


広い部屋の間で、二人の距離はひらく。
かけてやる言葉も見つからず心を痛める幸は頭を抱える政宗の弱々しい姿が目に入った。

彼らしくない。
彼はいつも堂々としてて、

…だがそれもできないほど彼は追い詰められているのだ。


「…政宗殿、」


絞りだすような声を届けても反応はない。
だがそのままにしておくこともできず、無我夢中で…

……政宗の手を握った。


「…幸?」
「………政宗殿、」


ようやく気づいた彼の顔はやはりやつれていた。
手は氷のように冷たく、それは晴れない悩みのようでもあった。

それでも、少しでも。
心を落ち着かせられたら。



「……あったけえな、手」
「…手の冷たい方は…心の温かい方だとお聞きしたことがございます」


その手を温めるかのごとくぎゅっと握り締める。
自分に冷たさが入り込むように、相手に安らぎが入り込めばいいと。


「…ですから、」
「………だが…手の温かい人は心が冷たい人だと思うか?」


ようやく笑みを見せる。
この妻にしか見せない、笑みを。



「…俺はその答えはNOだと思う」



だってこんなに温かい、
政宗は静かに幸の胸元に顔を埋めた。


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久々に夫婦。
幸の手はきっとあったかいだろうなー…

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