01/19の日記

23:39
君に温かな飯と愛を(小十佐)
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※現代パロ







人生初めての恋は、
前途多難な状態でした。




「…猿飛、まだあるか」
「ありますよー、と。」


茶色の和柄の茶碗に、真っ白なご飯をこんもりと盛ってやる。
それを相手に渡せば、その量に眉を寄せていた。

それでもそのご飯を食べ始める彼の頬には大きな傷、
目つきは鋭く、髪型はオールバック。
一目見ると怖い印象しか受けない彼だが、



「…悪い、海苔を」
「はいはい」



こうして作ったご飯を残さず食べようとしてくれたりなど、優しい面もたくさんあるのだ。
…いや、ひょっとしたら優しい面しか知らないのかもしれない。


「…猿飛、」
「なんですか?」
「その……悪いがまた海苔を」
「そんなに無理して全部食べようとしなくとも…」
「残したらそれは米に申し訳ない」
「……そうだね」



そしてまた食事を再開する。
いつの間にか彼の茶碗の中身はあと半分になっていた。
海苔と共に食べる姿がなんとなく可愛らしかった。

…でも本人には秘密。



「…猿飛、」
「ん?」
「その…すまない、毎日」


俯き加減に言う彼の目線の先には、茶碗があった。
不器用な彼らしい言い方に、思わず頬が赤く染まりそうだった。


「…いいよ、食べてくれるのも…嬉しいし」
「……毎日…旨い、」
「ありがと」






こんな彼は、
今の同居人。


そして、
初恋の、相手…


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とある事情から同居することになった二人です。
ネタはボンヤリとあるのでいつかシリーズ化するかも…

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