Novel,Original
□大きな栗の木の下で 〜木漏れ日〜…叶
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「……あ、起きた?」
僕が目を開けると、目の前に君がいた。
「…近いよ」
木に寄りかかって、寝てしまったみたいだ。
「ふふっ…ごめん」
顔が近かった。
君は笑ってごまかす。
「まだ寝てていいよ?」
「…んー……一緒に」
「え?」
「君も一緒に寝てよ」
「……(まいったな。寝顔を見るのが好きなのに)」
「寝て。一緒に」
少しだけわがままを言って、僕は君の服の袖を引っ張る。
「はいはい」
君はにこにこしながら、僕の頭を撫でた。
心地よくて、目を閉じる。
また眠気がおそってきたので、君に寄りかかって寝ることにした。
「おやすみ」
「待って!」
「何」
僕は薄く目を開けた。
「手、繋ご♪」
「……うん」
微笑み合って、指を絡めた。
「…なんか、眠くなくなったかも」
「ほんと?」
「君のせいだよ…」
「ふふっ…僕?」
笑い上戸の君は、いつでもにこにこ。
その微笑みに、僕が毎回ドキドキしているのは、絶対に秘密だ。
「疲れてるのに。」
「じゃあ僕が、眠らせてあげようか」
「な、何す……!」
君は、僕を木に押し付けると、また微笑んだ。
「君が、無防備だからだよ」
「……別にいいけど」
僕は口元に笑みを浮かべた。
いつもは、慌てふためいて、顔が赤くなってしまうのだが、今日は裏をかいたつもりだ。
心臓のドキドキは、止まるはずないのだが。
「…いつもと違う…」
僕はフフンと鼻で笑って、君を弱く押した。
「寝ぼけてる??」
君は、なぜか心配そうに言う。
「寝ぼけてるかもね」
「……今日はSだね」
「そうかな。じゃあ君はMになって?」
「それは、いや♪」
「…何で」
「もとがSだからw」
「ちぇ」
僕はわざと、不機嫌になる。
Sって…、疲れるな。
「寝る」
「また?」
「一緒に寝てよ」
「寂しがりや?」
「るさいな。寝顔フェチのくせに」
「な、何でそれを…」
「知ってたよ。」
そう、君のことなら何でも知ってる。
本当は、ドMなことも。
僕にあわせて、Sなフリをしていることも。
すべて作り笑いなことも。
…だから今日は、僕が君にあわせてみた。
手を繋いで、僕と君は眠りに堕ちた。
end...