『おうち』

□2009年クリスマス企画
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横暴な翠サンタのイベントが終了し、各自後は自由にすれば?的な時間がやって来た。

満点の星空。ユケイはトナカイの赤鼻で蒸れちゃった鼻を冷たい風に当てつつ、ぶつくさ翠の文句を言いいながら『おうち』への帰り道を歩いていた。

ユケイ「ったく・・・ぷぷん!!あのキング オブ サタン オブ キング オブ 鬼畜魚介類が・・・・むっきー!!今度こそタダじゃおかねーー!(通算100回目のセリフ)」

ぷんすかぷんすか道を行く途中、ユケイは小規模に賑わっている商店街に立ち寄った。火の国ブレノスの中部地区。その出店通りには、クリスマス一色だった。イルミネーション、正しいサンタ(赤い)の格好をした売り子、プレゼントの包装用紙、小さなクリスマスツリーやリースがキラキラと輝いている。

ユケイは口をあんぐりしながらその光景に見入っていた。ぴかぴかのきんきらりん。

ユケイ「うはーっ・・・」

ユケイはショーウィンドウに飾られた作り物のケーキを見詰めて、そのお店に入るなり店員に言った。

ユケイ「なんかくれ!!」

店員「Σ(汗)いらっしゃいませ。どのケーキになさいますか?」

ユケイ「ほーん?選んでいいの?」

店員「Σ(汗)・・・もちろんですよ。」

カウンターの下に並ぶ大小の様々なケーキ達。ガラスケースに顔をぴったり付けてそれらを見眺める。ユケイはショーウィンドウで見た『フルーツケーキ』ってヤツが欲しかった。

ユケイ「おっきいフルーツケーキがいい!あんね、みんなで食べんの!」

店員「それでしたら2600円になります。」

ユケイは右のポケットを探った。古いバンソコが出てきた。左のポケットには底に穴が開いていた。っていうかユケイはお店の人に聞いた。

ユケイ「っていうか、にんせんろぴゅくえんって何?」

店員は(汗)から(滝汗)になり。

店員「お金ですよ?キミ、お母さんか、お父さんは?」

ユケイ「お母さんとお父さんいないけど。」

店員は複雑な気持ちになりながら。

店員「うーん・・・とりあえずお金がないとお渡しできませんよ。店長に怒られてしまうんで。」

ユケイ「店長出せよ。倒すから。そしたらケーキくれる?」

店員「はい?!」

ユケイ「あーー、もう!じれったいなー!いいよ、くれないなら自分で取るから!」

店員「えっ、・・・あっ!!!」

ユケイはカウンターの内側にひょい飛び込むと、お姉さんを押し飛ばしてフルーツケーキを両手で掴んだ。

店員「キャーー!泥棒ーーー!!」

ユケイは傍の箱にケーキを入れると封をして、満足そうに店を飛び出して行った。

店員「誰かその子を捕まえてください!泥棒なんです!」

後ろで響く店員の声。

街の人が動揺する。誰も素早いユケイを捕まえることは出来なかった。ユケイはにょほほほ!と笑いながら、遠くへと駆けて行った。
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