MONO MOLTOR 第七番目のLogos

□第1章:世界の話とプロローグ
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人の世は、6種のLogos(学問)によって支えられていた。
また、それは神に最も近づけると信じられた、真理への術でもあった。
世界の各地にはLogosを象徴する6つの古い遺跡があった。
沈黙の闇より生まれし人の、疑問、疑問、果てしのない疑問……。
誰もが『なぜ?』と口にした、そう、その瞬間、
世界終焉への砂時計は傾いたのだ ―――

その小さな外観と相反し、遺跡の中には一つの無限とも思える、
長い一本道が続いていた。その道を行く者には次々と試練が課せられ、
その困難もまた無限のように。未だ道の果てを見た者はいない。

いつかそれは『Idea(神の国へ)の子道』と称されるようになり、
遺跡は神殿と解釈され、その先に住まう神が人によって様々に創造された。
6種のLogosに分かれた探究者達は、競う様にその道の終わりを目指してゆく。

火を掲げ、水を腐し、風を汚し、地を抉り、雷を食い、 
すると全ての秩序が乱れてゆく、列し律する程、Chaos(無秩序)となる。なぜ?
今もなお、人はその探求の道を歩んでいる、なぜ?
まるで、『神』に与えられた世界を脱しようとするかのよう。

人々の疑問はやがて大樹となり、幾多の幹に、葉に、脈が分化し巡ってゆく。
大樹が成らすは智の果実。やがて大地に落ち、根へと還ってくる。
その循環は、大樹を支えるものの眼に美しく映ったものだった。

ある時、大樹は、最完全という大天空を提唱した。それはIdeaの小道の最果てに待つものではないか?
真っ直ぐに天を目指し、伸びゆく六つのLogosの大樹。今となっては
その高さ故、誰もが大樹の根を支え続ける大地を、遥か過去に忘れてしまった。

Ideaの小道の探究者は創造者となり、大樹の成長を担う後継者が次々と、
溢れる程に育まれてゆく。大樹は自らの在り方を忘れ、自らが全てと唄い、
真理という名の自滅へと、急速に成長してゆく。大地はこれを自らの為、阻止せねばならなかった。

大樹達を囲む、大空、大海、大地は、悲しくももはや創造者達の眼に映りはしない。
故に生まれたのが、より可視的な彼等の対である破壊者。
Logosに驕れ、酔いしれ、Logosによって醜く肥大し続ける大樹をLogosによって止め説くのが、彼らの役目。
この大いなる論争MONO MOLTORの結末とその秘話を、知っているかな。





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