□文□

□一思案
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銀色の髪を夕陽が照らす。

公園のブランコは寂しいそうに子供たちを見送った。




■一思案■





今日1日仕事はなかった。いや、ここ最近まるでない。
かぶき町は平和だなぁと思いつつ財布の中を恐る恐る覗く銀時がいた。

「ちきしょー…今日もまたご飯のおかずに食パンか…。」

そんな事を思いつつ、とぼとぼと家路に足を向ける。
すると前に伸びる自分の影に見覚えのある女性が重なった。



「よぉ、今から出勤かぃオネェサン。」

「あら、銀さんじゃない。」


彼女は新八の姉である志村妙であった。その端正な面持ちは一瞬にして周りの男を振り向かせる。

「今日は仕事はお休みなんです。ちょっとお買い物です。」

「そーかい。俺も今日は休みだ。」

「あらやだ、銀さんは年がら年中ニートを突っ走ってるじゃない。」

「んな事ねぇよ。それに銀さんは体売らないから安心し…」

その瞬間、妙の右ストレートが銀時の左頬をぶち抜いた。

「あら、何かしら。私が体売ってるとでもいいたいの?イヤだわ銀さん殺すわよ。」


うふふと笑いながらも第2発目を振りかざそうとする妙を銀時は必死に宥めた。

「いや、ほらお前の仕事…あんま新八クンの教育に宜しいもんじゃねぇだろ。」

「…分かってます。だけど道場復興と生活の為に仕方なくやってるんです。」

妙は口をつんと尖らせて銀時を睨んだ。

「だからその、あれだあんまり……」

「…?なんです?」

言い詰まる銀時に今度は眉間に皺を寄せた。

「…何でもねぇ。」

「何よ。変な銀さんね。」

妙はしかめた眉を緩めながら笑ってみせた。


辺りは夕陽が落ち始め、2人の影も先程より大分短くなっていた。


「そろそろ帰らなくちゃ。新ちゃんが心配するわ。」
「おぅ」

小さく手を振り、妙はその場を後にした。それが見えなくなるまで銀時はその場に立ち尽くしたまま。
ふと考えた。


『だからその、あれだあんまり……』



答えが分かった瞬間思わず言葉を飲んでしまった。


『だからその、あれだあんまり…男に触れるな。』


自分でも何でそんな事を言おうとしたのか分からない。

妙がキャバクラで働いている事は前から知っている。それについて自分がどうこう言えた義理じゃない事ぐらい承知の上だ。

なのにどうしてだろう。胸の蟠りが消えない。




その頃妙は急ぎ足で新八の待つ家へと向かっていた。
不意に先程銀時が言いかけた言葉が気になった。


“何を言おうとしたのかしら、銀さん。”


銀時とは弟を通じて知り合った。
死んだ魚のような眼をした彼の事など今まで別に気にも留めていなかった。
なのにどうしても先程の言葉の続きが気になって仕様がない。

妙は足を止めた。
そして徐に後ろを振り返った。




もちろん、そこには自分の影だけが小さく纏まっている。





“今度銀さんに逢ったら、続きを教えてもらおう。”

そう思いながら、再び妙は弟の待つ家の方向へと歩きだした。





その反対方向で長らく立ち尽くしていた銀時もようやく家路に踏み出した。












彼は彼女を思い
彼女は彼を思う。





家路までに、
一思案。



それが恋だと気づくのはまだ先のお話し。




fin











あとがき


第1弾なので、ホムペタイトルを使ってみましたWW
なんだかアンニュイなお話しになってしまった…。笑

つかアンニュイってなんやろヽ(゜▽、゜)ノ

次回続いたらいいなぁ。頑張ります(・ω・)

 

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