dream

□高瀬
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「高瀬くん?」
クラスメイトの高瀬君が教室に残っているのが見えたから思わず声をかけてしまった。
「何してるの?」
高瀬君はあまり話したことのない私にいきなり話しかけられてびっくりしたみたいだったけど、嫌な顔をせず答えてくれた。
「日誌。書くの忘れててさ。」
「そっか・・部活も、もう始まっちゃってるよね。」
高瀬君は野球部だ。野球部の忙しさは半端ではない。
「だろうな。まあ、もともと遅刻決定だしのんびり完成させるよ。」
高瀬君はそう言って笑った。けど部活に行きたいオーラはありありと見て取れた。
「あっ、私変わろうか?」
「えっ?いや・・悪いし。」
「気にしないで。基本的に私暇人だし、部活もやってないし。」
高瀬君部活いきたいでしょ?、と付け足すと高瀬君は一瞬だけ考えた。
「じゃあ頼もうかな?今度何かお礼するよ。」
「えっ!?いいよ、私が言い出したんだし。」
「それじゃあオレの気がすまないだろ。何がいいか考えといて。」
それじゃあ、と言い残すと高瀬君は教室から出て行った。速い。
「お礼かぁ・・。」
そんな事より高瀬君ともう一度関われるかもしれない事が私にとって、何よりも幸せな事だった。







 

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