dream

□高瀬
1ページ/1ページ

部活が始まる前、部室の前で高瀬先輩を見つけた。
どうしよう、挨拶したら返してくれるかな?これで返してもらえなかったらショックが大きい。
私がそんな事を考えてピタリ動きを止めていると、高瀬先輩が私の方に向いた。
「あっ…おっおはようございます。」
目が合ったから後輩として挨拶をしない訳にはいかない。先程の不安が一気に膨らんだ。
「おはよう。早いなぁ。何時もこの時間?」
返してくれたという事でいっぱいで、高瀬先輩が後に続けた問いに答えるのに少し時間がかかった。
「…あっ…ハイ。色々用意しないといけないので…」
予定外に会話が膨らんだ。嬉しいけど、どうしよう。変な事は口走れない。
「大変だな。俺は今日たまたま早く来ただけだけど、この時間に誰かが来るとは思ってなかった。」
「そっ…そうなんですか…なっ…なんで今日はたまたま早く来たんですか?」
私がしどろもどろに高瀬先輩に問い返すと、先輩は笑って早起きしただけ、と答えてくれた。
そうですか、と答えると、続けていう言葉が何も思い付かなかった。
うう、私のばか。
「これからもう用意する?」
「…あっ…ハイ!」
突然で咄嗟に頭が回らなかった。でも先輩のおかけで何とか話しが広がりそう。
「じゃあ先に着替えて来いよ。俺も手伝うし。」
「…えっ!いいですよ。私…そんな…」
「いいって、だからとっと行ってこい。俺ここにいるから。」
あまりにも予想外の展開に、私は何一つ言えないまま素直に先輩の言葉に従った。

(どうしよう…)

着替えに行く途中も、着替えている最中も、私は頭の中から会話のネタになりそうなものを必死に探した。




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ