現代物
□いかれこれ
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朝日がまぶしい…。カーテンをそのままにして眠ったようで、顔にモロに当たる。寝返りを打とうとして腰や体の節々が痛み、はっと目が覚めた。そしてすぐ隣で、口を開けて眠りこけている男の顔をいまいましく思った。
だから頭を叩いて体を酷使させた張本人のテルオを起した。
「起きんかい!」
「…った〜」
昨日はあんなにかわいかったのに…ほんまに凶暴やなぁとぶつぶつこぼし、タバコを取り出して火を点けた。
そんなテルオの態度も腹が立つ。クソ…思いくそヤりやがって!!
「最悪や…こんなん。俺いっこもええことないやん!」
憮然として口にするハルオにテルオは口にくわえていたタバコを灰皿に落とした。
「何でー?…もしかして、俺のプレゼント気にいらへんかったん?」
「あったりまえやろっっ!!!お前何考えとんね〜〜〜ん」
どこに夜通し散々泣かされて、プレゼントありがとうvとか喜ぶアホがおるんや!!!痛む腰と尻と頭に顔を顰めて起き上がって、傍で寝そべって満足そうにタバコをふかしている…。
呆けたことしか言わない男の頭をグーで思いっきり殴った後、よれよれの体を無理矢理動かしてベッド下の紙切れを拾い上げた。
十二枚綴りで様々なプレイ内容が書いてあったのはヤられる前に見た。頭にきて破り捨てようとふっと一度見ると《緊縛》《クリップ》《騎乗位》《駅弁》《搾り切る》って…!!
さっき見たのと違う…?
「……テルオ。コレなんだ」
低い掠れた声で涙目で頭を擦っているテルオに尋ねる。その声音の微妙な響きに気がつかないテルオは笑顔で答えた。
「それはハルから〜俺へのプレゼントv」
「はあああああ?」
「なっvせやから昨日は〜俺からは…コレ、この《夜通し》で〜ハルからは《搾り切る》やねんv」
テルオの言葉に怒りで全身が震えてくる…。
このアホは何考えてんねん!!!大体、何で俺からのプレゼントがあいつに決められなあかんねん。…それに俺はちゃんと考えてたのに。一緒に正月は温泉へ行こうと思って手続きしてたのに…。
せやのに、何でこんな目に…あわなあかんねん!!
怒りのボルテージが最高潮に達して絶叫した。
「とーぶんっ!お前とはやらへんっ!!!!アホたれ〜〜〜〜〜」
ゲシゲシ足蹴にして、頬を思いっきり爪で引っ掻いて顎を殴って恋人を完全にのした…。
町内中に響き渡るような怒号に一階の両親が飛んで上がって来て、ますますハルオの怒りが増してあまりの剣幕に父親が止めに入ったくらいだった…。
殴る蹴るで暴れたおしたハルオは、男前で知られたテルオの顔に最低二週間は治らない引っ掻き傷と青たんをプレゼントしたのだった…。
END.