現代物

□いかれこれ
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「あーハルちゃん。今エエ?」

ドア越しに聞こえてきたのは衣装係の声。

「かまいませんよー」

ドアを開けて、ごめんな〜忘れてたと申し訳なさそうに手を合わせ、何やら袋を晴之に渡した。

「何ですか?これ」

「これな、今ハルちゃん穿いてる水着の下に穿いてもらうヤツvちゃんとサラやし…返さんでエエから」

にこっとそう言って彼女は立ち去った。

残された物は透明のビニル袋に入ったヒモがついたメッシュ状のもの。これって一体なんや?水着の下に穿くって…。

小さな布切れとその布地の上下についたヒモ…。でも水着の下ってことはこれもパンツの一種なのか?

でもこれで隠さないと透けてしまうし、修正するとなるとまた文句言われるし…。水着は蛍光色のピンクとイエローで、誰が買うねんと突っ込みたいデザインだ。

こうかな、ああかなと悩みながら、布地で性器を包みヒモを股間に回して何とか水着を着用したが、着るだけでどっと疲れてしまった。




晴之が水着姿でスタジオに戻ると、はっと顔を真っ青にしているテルオの姿があった。どうやら先に着替えたらしい。テルオの水着は豹柄のビキニで、派手だが浅黒い肌に良く似合っていた。

なんや、お前のん派手やな、と言おうとしたが間近でテルオの顔を見たら言えなくなってしまった。

青筋をこめかみに走らせて目は血走ってるし、とても男前やなvなどと軽口が叩ける状態ではないことは明らかだった…。

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