現代物

□君の涙に虹を見た…
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通りを練り歩く時代時代の扮装行列に感嘆の声を上げながら、東が屋台で買った食べ物に俺は腹が立っていた…。

何だってチョコバナナなんてもんを食べるんだ…。それとも何か?これは狙ってやっているのかと俺は聞きたい…。

大きな右曲がりのバナナにたっぷりかかったチョコ、満面の笑みで舐めまわす東はムチャクチャ、エロい!舌先でチョコを舐めとリ、嬉しそうに飲み込む表情…。

公衆ワイセツで捕まりそうなくらいの淫靡さが東には、漂っているのだ。小さな手で握ってるのも、見ようによってはイヤラシイ。

ごくっ、思わず俺の喉が鳴ってしまう。仕方ないだろっっ、クソ。こいつと付き合いだしてからまったくと言っていいほど、誰ともヤってない。たまってたまって…。自家中毒になんじゃねーかってくらい自分で慰めてる…。



あーっ、今の顔。何てや〜らしい顔すんだよ!ほら、隣のおっさんもつば飲み込んでるじゃねーかっ。油断も隙もない、ああクソったれ。


「おい、もう行くぞ」

憮然として呆けた顔をして見ている東を、俺は移動するぞと、促した。

「え〜、もっと見たい…ねっ。もうちょっと」

不満そうに頬を少し膨らませて、俺を睨む。でも、カワイイだけでちっとも恐くないって言ったらまた、ムクレるか。

「…ダメだ。ほらバナナの次は姫リンゴ食うんだろ?」

「あっ、うん。わぁ〜えへっ美味しいな〜」

食い物のことを言ったらあっという間に、ニコニコだ。相変わらず食い物と直結した頭だな東は…。ま、そこがカワイイんだけどな。

頷く俺に東は、食いさしのバナナを差し出した。

「はい。ア〜ンして」

「えっ?」

にっこりと微笑み、右曲がりのバナナを差し出す…東。しかも、しかも口にした言葉はっっ!!

「ハイ、美味しいのとっても、俺の食べてv」

ポタッポタッ……。



春の健康診断でも太鼓判を押されたほどの二十六才の健康体。付き合いだして、約一年になるが今だ清い交際続けているのだ。

ベタ惚れしている東に「俺の食べてv」とかわいく言われてうっかり妄想しても、きっと誰も責めないだろう。



血だらけの古川を見て、ふ〜っと失神してしまった東を抱きかかえながら、鼻を抑える姿は鬼気迫るものがあった…。

祭会場の神社にはサイレンが鳴り響いて、一台の救急車が到着した。



END.

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