現代物
□いかれこれ
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「テルオハルオはなぁ、どっちがええ?フンドシとビキニと」
「は、はいぃ?」
聞き間違えたのかと、晴之は高須の顔をまじまじと見た。
「せやからぁ〜フンドシとビキニ、どっちがええか聞いてんねん。ガスダイはもう、フンドシキャラやてイメージ決まってるけど。
おまえらは一応ちゃうから聞いとこ思て…どうや?どっちがええ?」
隣で立つ男の温度が下がっているのが痛いほど感じられて「水着にしてくださいっ」と晴之は即答した。
隣でテルオは静かに額に青筋を立てて固まっていた。
「ほんなら、水着な。あと〜しゃララも水着で、VSはフンドシな。よっしゃ決まった」
事務所のビルを出て道すがら、我慢していたテルオが怒りを爆発させた。
「なんで写真集やねん。し、しかも水着姿とかフンドシって、それちゃうやろがっ!!」
「笑われてナンボの世界や、しゃーないやん。どんなんでも金になるし…」
晴之はそう言ってカンカンになっている恋人を慰めたが。
「…ハルはええんか?そんなカッコしても」
「………」
ええことないけど…でも仕事やし…。別にオールヌードって訳やないしなぁ。だいち、男同士の裸って見慣れてるし…いや、まぁその…。
恋人同士でお互いの裸は、もう見慣れてるってことで、写真でソレに等しい格好すんのは、またちゃうけど。
水着やったらかまへんかなーと思うねんけど。ちらっと隣を歩くテルオを見ると納得がいかないと頭を振っている。だから言ってやる。
「…じゃあな。フンドシの方がエエか?あれの方が…」
ぷるぷるぷる!!
すごい勢いで首を振って、吼えた。
「あかんに決まってるやろ!あんなエロいかっこ。尻とか丸見えやん!!」
そんなん冗談やないと低い声で唸った。
「ほんならこの話はもうナシな。納得したな?」
ええな、と何度も念を押して晴之は恋人の頬に軽くキスをした。それだけで単純な恋人の機嫌は直り、頬は緩み元気に頷いた。