現代物

□泥の家
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泥の家


あるところにぶーふーうという三匹のこぶたがおりました。あるひおとうさまからよびだされ、三匹はめいめいでいえをもつことになりました。
いちばんうえのこぶたぶーは、泥でできたいえを作ることにいたしました。にばんめのこぶたふーはわらをたばねたいえを作ることにいたしました。さんばんめのこぶたうーはレンガでできたいえを作ることにいたしました。

いちばんうえのこぶたぶーのいえは泥をこねてかためるだけのものですから、あっというまにいえができあがりました。にばんめのこぶたふーはわらをたべねてほねぐみの木にたてかけるだけのものですから、これまたあっというまにいえができあがりました。

さんばんめのこぶたうーのいえはいったん干ぼしレンガを作ってそれから積み立てていかねばなりません。そのためなかなかできあがらず、いちばんうえのぶーとにばんめのふーたちからたちからのろま、ぐずとさんざんわらわれました。ひとつきちかくかかってやっとさんばんめのこぶたうーのいえはできあがりました。

そうしたころ、町になんじゅうねんにいちどの洪水が起こりました。川のはたにたてられた泥のいえはあっという間にながされてしまいました。いちばんうえのこぶたぶーはにばんめのこぶたふーのいえに行きましたが、ものすごいかぜでなかにははいれませんでした。
しかたなくさんばんめのこぶたうーの元に行き、泊めてもらうことになりました。きもちのやさしいさんばんめのこぶたうーはすぐにいえのなかにいれてやり、すすで汚れたかおをふいてやりました。

そうこうするうちに、山火事が起こり森の中にあったにばんめのこぶたふーのわらのいえは燃えてしまいました。ゆきばのないにばんめのこぶたはいちばんめのこぶたと同じように、さんばんめのこぶたうーのレンガのいえに行きました。

三匹のこぶたの兄弟は、じょうぶであたたかなレンガのいえでなかよく暮らすことになりました。


正彦は手にしていた絵本を壁に投げつけて、部屋の中をぐるりと見渡した。
八畳ほどの勉強部屋には、買い溜めた漫画やゲームがうずたかく積まれ、足の踏み場は万年床のベッドとテレビの前の、わずかしかない。
一見すると散乱した部屋だが、正彦なりの秩序が配置にはある。ベッドから手が届く左の棚の前には、今週の雑誌と買ったばかりのゲームソフト。元勉強机には、テレビゲームのソフトと買い置きしたスナック菓子やジュース。本棚前の窓際にあるのはその前に買った雑誌や漫画、録画したビデオテープ。南向きの日当たりの良い十畳ほどの部屋、カーテンを半分以上閉めた薄暗い部屋の床で、寝転ぶ豚、それが自分だと正彦は床に転がる絵本の表紙に目を落として、小さく笑った。
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